こんにちは。小島です。
今回のコラムから、私のハコスカが具体的にどんな改造が施されたのか詳しく紹介していきます。今回はくたびれてきたボディをきれいにしてもらったときのお話です。
18歳でハコスカを手に入れてから、非力なL20シングルキャブでしたが初めてのクルマということもあり、楽しく乗り回しておりました。大学生でお金もあまりなかったのでこのころは特にいじることなく、買ったまんまの状態で気に入って乗っていました。旧車特有のトラブルもそれなりに経験しながら、壊れては直してという旧車らしいのんびりした付き合い方で10年ほど経ったころ、長年妄想していたRBエンジン換装が具体化していきました。
このころの私は、金型設計の仕事に就いていたので資金面もなんとかなりそうな気配があり、チューニングカー業界でも合法的に旧車にRBエンジンを乗せ換える事例を雑誌などからちらほら見聞きするようになった時期でした。私のハコスカはと言えば、買ったときでさえ悪くはないけどまあボロいよねという状態からさらに10年が経過し、うっすらだった錆もすっかりたくましく育ち、塗膜を裏から押し上げてぼこぼこになってるところも目立ってきて、ひどいところはあんまり強く触るとぽろっと取れちゃいそうな部分も…。いや、ボンネットの先端なんかホントにぽろっと取れちゃったので、破片を接着剤で付けてごまかしていました。
ぽろっといってはっつけたところ
ドア下やサイドシルはかなりきてました
ボディがそんな状態だったので、これは10年の節目だしこの先も乗るならちゃんとお金をかけて一度しっかりリフレッシュが必要だな…と思うようになったのでした。機関のほうはといえば、もう壊れるところが壊れつくしたのか、あんまりトラブルらしいトラブルもなくいたって快調でしたが、運転もだいぶ慣れてきたこともあってL20の非力さに物足りなくなってきていたのも本音です。
当時のL20。ボロいけど調子よかったです。
この状態のボディだと、やるならほとんどフルレストアの作業になることは間違いないし、いっそこのタイミングで昔から妄想していたRBエンジン換装もいっしょにできないもんかしらと本格的に考え始めるのでした。
いろいろ調べていくうちに目にとまったのが、今ではすっかり有名になってしまったロッキーオートさんの広告。RBエンジン換装、オートエアコン移植など、私にとってはもう目がハートになるような仕様のハコスカの写真がそこにはありました。
なかでも興味をひかれたのがボディ補強の内容。ボディ補強といえば後ろの座席を犠牲にしてロールケージを張り巡らすような構造にするものだと思ってたんですが、ロッキーオートさんでは主にフロア下やフェンダー内に補強を入れるというもの。ロールケージを付けたくなかった自分にとって、居住性を犠牲にすることなくボディ剛性を引き上げるという部分がとてもツボにはまりました。
ただ、広告だけだといちばん大事な費用のことがよく分からないし、直接お話ししたいなと思っていたところ、ロッキーオートさんも出展する旧車イベントがあることを聞きつけ行ってみることにしたのでした。そのイベントで実車を拝見しながらお話しした内容をまとめると、「ベース車両を持ち込みにしたとしても、結局コンプリートカーと変わらない費用はかかってしまう。いっそコンプリートカーに乗り換えたほうが割安なケースも。」というものでした。けっこう混みあっていたので、お話もそこそこに連絡先をお伝えして、後日詳細は打ち合わせしましょうということになってその日は退散するのでした。
乗り換えか……もう10年乗ったしそれもアリか?…としばらく悩んだものの、すでに作られた車両というのは自分の好みに合わない妥協ポイントがどこかしらにあるもので、私は結局、愛着のある自分のハコスカを生まれ変わらせることにしたのでした。
問題はやはり費用で、ロッキーオートさんのコンプリートカーは当時でも安くはない金額で同じ程度の費用がかかる……当時の私の全財産を総動員すれば出せないこともないけどすっからかんになるのは抵抗あるしローンも嫌いだし…と悩んでいたところ、車検も数カ月先に近づいていたこともあって、ロッキーオートさんに最初の打ち合わせのお願いをして、新幹線を爆走させてはるばる愛知県へと向かうのでした。
ロッキーオートさんでマイハコスカの状況や、自分のやってみたい仕様、費用がぎりぎり厳しいけどローンは組みたくないことなどお伝えしたあとに、ロッキーオートさんからのご提案は、車両製作を2段階に分けて進めるというやりかたでした。
今のL20エンジン含めて、幸いにも機関は全体的に調子いいことだし、第1ステージとしてまずはボディのフルレストアをしながら補強も行い、今までのL20エンジンを再び積んでひとまず納車。製作期間+車検が切れる2年後のタイミングで、第2ステージとしてRBエンジン、オートエアコンなどの移植作業を行うという計画でした。これはあれだ、デアゴスティーニだ!
自分にとっても、ボディだけのレストア費用なら無理がなかったし、2年以上の猶予が与えられたのでこの間に費用を捻出するのは不可能じゃないし、もし資金が作れなかったらRB換装を諦めればいいだけのこと。下手にローンを組むよりも気楽に構えていけるし、いい目標もできたので私にとっては最高のご提案でした。
入庫の日程を調整して、いよいよロッキーオートさんにクルマを預けることになりました。
レストア直前のハコスカ。ロッキーオートさんに持ち込んだときの帰りに、駅まで自分のクルマで送っていただきました。
ロッキーオートさんに預けてからは、作業中の写真を都度メールでいただいていたので、一部をダイジェストで。
リアフェンダー。
サイドシル。フェンダー内には大穴が。
フロアはまあまあ悪くない状態でした。
フロントセクション、錆止め処理後。
サフェーサーが入りました。
室内も錆止め処理とサイレンサーパッドが貼られたところ。
フロントフェンダー内。ストラットの補強の様子が分かります。
そして待つこと約半年、第1ステージが完了した姿がこちらです。
おお!ぴかぴかだー!!78ナンバーのままというのが、中身がL20の証です。
…………何にも変わってないじゃん、とかお思いでしょう…。そう、色も前と同じシルバー系だし、ちょっと小奇麗になったぐらいでほとんど何にも変わらないという、なんとも連載コラム映えしない出来上がりで大変恐縮ですが、オーナーとしてはこのぴかぴかっぷりは感動的でした。
エンジンルームを見るときれいになったのが分かりやすいかも。
見た目は変わらないのですが、ボディ補強の効果ははっきり分かるものでした。まずコンビニに入るときに段差を乗り越えてもボディがきしまないし、高速での直進安定性が良くなったので長距離移動の運転がすごく楽になりました。
第2ステージに向けて仕事もばりばりこなしつつ、ツーリングやミーティングにも積極的に参加するようになったのでした。
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免許を取ってからずっとハコスカ乗ってる人。足車はジムニーだが、これもジムニーばかり3台も乗り継いでるという重篤な症状を持つ。ハコスカとジムニーだけという偏った車歴ながら、スポーツカーから働くクルマまで、クルマ全般が大好きなおじさん。1977年生まれ、神奈川県出身。