最近の軽自動車は本当に優秀ですね。よく言われていることですが、限られたサイズで最大限の能力を発揮するための技術開発はやはり日本がトップだと言っていいと思います。
これが軽自動車!?と思うような性能や空間のものがたくさん出ていますが、私は2012年にホンダのN-ONEが出たときにはちょっとした衝撃といいますか、懐かしさがありました。その顔つきは1967年に発売されたN360そのものだったからです。世の先輩方には懐かしく、若者には新鮮に映り、今も多くのファンに支持されているクルマです。
さて、N360の“360”、これは排気量を表しています。その昔、360ccのクルマがたくさん走っていたんですよ。バイクじゃありません、4人乗れる360ccのクルマです。 この規格で最も有名な車種のひとつにスバル360があります。一昔前にNHKの「プロジェクトX」という人気番組にも取り上げられましたし、 昔の映画に出てくることも多いですね。リヤにエンジンがあり、後輪駆動のRR方式、ねじり棒バネ。総重量385キロ、16馬力の小さなクルマに“希望”がいっぱい詰まっていました。
現在の軽自動車の規格は660cc以下ですが、実はこの規格になったのは1990年からなんです。その前までは550cc以下でその前は…と、軽自動車の規格というのは、世の中の動きにあわせて頻繁に変化しています。
▼軽自動車規格の変遷
省令施行日 | 排気量 | サイズ |
1949/7/8 | 150cc(4サイクル) 100cc(2サイクル) | 長さ2.80m/幅1.00m/高さ2.00m |
1950/7/26 | 300cc(4サイクル) 200cc(2サイクル) | 長さ3.00m/幅1.30m/高さ2.00m |
1951/8/16 | 360cc(4サイクル) 240cc(2サイクル) | |
1955/4/1 | 360cc(4/2サイクル共通) | |
1976/5/1 | 550cc | 長さ3.20m/幅1.40m |
1990/1/1 | 660cc | 長さ3.30m |
1998/10/1 | 長さ3.40m/幅1.48m |
なんと!昔は150ccだったのです。
そこから約40年、日本人の体格が変わり、道路が整備されて走りやすくなり、少しずつですが一般庶民にもクルマが買えるようになってくる… クルマが果たす役割や求められる性能も変わってきて当然でしょう。これからも時代とともに規格が変わっていく可能性はあるかもしれません。
では、これら360ccのクルマが、今の規格に合わせてナンバーを取るとしたら、軽自動車用の黄色いナンバーになるのでしょうか。 答えはノーです。一番最初に届出された規格がずっと引き継がれることになり、こういったひと回り小さな白いナンバープレートになります。
それからもうひとつ、ホンダS600というクルマはその名のとおり600cc。 当時の規格からいうと「普通車」ですが、今の規格だと「軽自動車」になりそうですよね。 この場合も、一番最初に登録された規格が「普通車」ならば、今も「普通車」として取り扱われます。 まぁ、S600に乗るような方はよっぽどクルマが好きでしょうから「軽自動車にならないから税金が高い!」 なーんて文句を言う人はいないと思いますけどね。
<参考>
360cc ニッポン軽自動車メモリアル1950→1975 八重洲出版
軽自動車検査協会
子供の頃、父が運転するライトエースで聴いていたのは加山雄三とグループサウンズ。あれ?計算が合わない…という意見は野暮ってモン。愛車のハコスカとニンジャで家計がひっ迫しても、美容代ならすぐに削れる女子力のない女子。クルマとバイクと昭和を愛するイチ会社員が「クルマ好き女子の六輪生活」は、不定期にゆるーくお届けします。