こんにちは。小島です。
前回までのコラムで、何を思って小僧がハコスカを買っちまったのかを書かせていただきました。
この手のクルマは、買ったらあとは乗るだけというわけにはいきません。消耗品は消耗するし、しょせん機械ですから故障もします。旧い設計は不合理なこともあるし、新しい便利な技術はなるべく取り入れたいですよね。私のハコスカも思えば人生の半分以上いっしょに走ってきたわけで、その長い時間の中で少しずつ、ときには大幅にグレードアップをしながら今の姿に落ち着きました。
今回は、どこをどうカスタムしているのか現在の仕様をまとめました。
【第1回 ハコスカとの出会い を見る】
【第2回 ハコスカ乗りが出来あがるまで を見る】
このクルマはボンネットを閉めているとただのきれいなハコスカです。スポイラーやオーバーフェンダー、ロールバーなどの目をひくパーツは一切付けず、ノーマルで自然体の、セダンの雰囲気を活かすように意識しています。
フロントフェンダーは、実はカーボン製ですがしっかり塗装して装着。ボディカラーはハコスカの定番イメージでありボディの造形が引き立つシルバー系で、また、映り込む景色も楽しめるようにややダークな日産エクストレイルのチタニウムシルバーを選びました。
メーター類は当時の雰囲気を重視してすべて純正メーターが動くようにしています(ただしタコメーターのみ機構部分を電圧式に変更)。もし正確な情報が必要なときはコンサルトからパソコンで確認できるので、味わい深いまったりした動作の純正メーターを活かすようにしました。
時限爆弾のような音のする時計も健在。当時なかった便利な機能(エアコン、オーディオ、ETC、レーダーなど)は、使い勝手を最優先して安易にカバーで隠したりしていません。でも昭和の景観を損ねないように見た目には十分配慮しているつもりです。
ところどころ違和感のある間違い探しのようなコックピットです。
オーディオは一応カロッツェリアですが、一度分解してシボ塗装し当時のオーディオっぽくカスタム。おかげで何のボタンだかさっぱり分からなくなりましたが、カンで使えてます。その下は本来ヒーターコントロールですが、ETCをビルトイン。
このクルマのいちばんのチャームポイントでもあるオートエアコンの操作パネル。その上には自分で図面を描いて削り出しで作ってもらった2500GTオーナメント。
本来灰皿だった部分を引き出すと、謎の臓物が仕込まれています。
ナビゲーションシステムは付けていませんが、灰皿を改造したドックにiPhoneをセットすることでナビアプリが使用できます。方向音痴の才能がある自分でも安心です。このドックは充電はもちろん、オーディオの外部入力にもつながっているので、iTunesの音楽を楽しむことも可能。機能は平成、センスは昭和で、純正のようなクオリティを意識してまとめています。
なにかと目立ってしまうロールバーによるボディ補強をしたくなかったため、フェンダー内やフロア下などの見えない部分の補強でボディ剛性を確保。サイドシル内部も補強しています。
RB25DE(NA)エンジンに換装。エンジン本体は耐久性と低中回転の扱いやすさを重視して現在ノーマル。とはいえ、ノーマルでもハコスカの車体に対しては十分なパワーで、むしろ私のような拙い技量だとこのぐらいの使い切れるパワー感がちょうどいいように感じています。
ただし、ノーマルエンジンの力をすべて引き出すためにタコ足はワンオフで製作。集合部分と取り回しを工夫することで全域がトルクアップ、燃費も改善しました。
フロントは全長調整式の車高調、ブレーキはR32 type-Mキャリパー+S2000ローターの組み合わせ。キャリパーはおとなしい外観に合わせて、あえて地味なグレー塗装。
リアはアライメント調整できるようにアーム類を大幅にカスタム。ドライブシャフトは、現代では普通に採用されてる走行抵抗の少ないCVジョイントタイプのドライブシャフトに交換してあります。
次回のコラムからは、かなりマニアックなお話が増えるかと思いますが、興味のある部分だけでもナナメ読みしていただけたら幸いです。それではまた来週!
▼同じカテゴリーの記事(全9回)
第9回 リアサスペンション大改造(設計、製作編)
第8回 リアサスペンション大改造(構想、シミュレーション編)
第7回 ハコスカ タコ足製作実行編
第6回 ハコスカ タコ足製作準備編
第5回 ハコスカ エンジン換装編
第4回 ハコスカ ボディ補強編
第3回 ハコスカ、何をいじったの?
第2回 ハコスカ乗りが出来あがるまで
第1回 ハコスカとの出会い
▼ボディ補強編(8/25公開予定)/ エンジン換装編(9/1公開予定)
購入してからL20エンジンで約10年が過ぎ、旧車にありがちなトラブルを一通り経験したころ、さすがにボディの錆やヤレがかなり目立ってきてしまいました。また世の中も10年の時が流れ、ハコスカを手に入れたころは夢物語の妄想でしかなかったハコスカ+RBエンジンという組み合わせもちらほらと前例の話を聞くようになった時期でもあります。ある旧車イベントでそういった車両を製作しているショップ の方と直接お話しする機会があり、私のハコスカを預ける決断をすることになりました。その決断に至った理由と作業の様子、そしてどのように変わったのかを書きたいと思います。
▼タコ足製作編(9/8,15公開予定)
車高短のせいでなにかと擦りがちだったタコ足をリニューアルしたくなりました。ただし、ハコスカ+RBエンジンという組み合わせのため、市販品では合うものがないので必然的にワンオフ製作することに。せっかくお金のかかることをやるなら性能も妥協したくないしそもそも効率のいいタコ足っていうのはどんな構造をしているのか気になって、素人なりに考察してみた顛末です。大学で流体力学の単位を落として留年した経験を活かして、めんどくさい数式とか使わずわかりやすさ重視で解説(できたらいいな)。
▼リアサスペンション大改造編(9/22,29公開予定)
ハコスカのリアサスペンションはセミトレーリングアーム式。多くのFR車が採用してきたサスペンションなんですが、ハコスカのそれはいかんせん設計が旧くてまったくアライメントが調整できない構造です。おまけに車高を下げるとキャンバーが付きすぎるうえにトーアウトにもなってしまうので、それをなんとか解決するためにごっそり改造することにしました。ちょうどこの時期、仕事を辞めて時間があり余ってることを最大限に活用して、セミトレの歴史から紐解いた自分なりの考察をもとに、シミュレーションから部品設計、製作、さらに公認取得資料の作成までを大公開。
免許を取ってからずっとハコスカ乗ってる人。足車はジムニーだが、これもジムニーばかり3台も乗り継いでるという重篤な症状を持つ。ハコスカとジムニーだけという偏った車歴ながら、スポーツカーから働くクルマまで、クルマ全般が大好きなおじさん。1977年生まれ、神奈川県出身。