こんにちは。小島です。
前回、ボディのレストアと、エンジン換装の作業を2年越しに分けて進めるデアゴスティーニ方式で大改造することになったマイハコスカ。第1ステージのボディ補強を兼ねたレストア作業を終え、無事に復活することができました。でもこれはまだ仮の姿(…とかいって、この先もあんまり見た目は変わらないけど…)。今回はいよいよエンジン換装のお話です。
第1ステージ入庫まえ、最初の打ち合わせのときに搭載するエンジンなどの仕様はほぼ決まっていました。RBと言えばターボエンジンですが、実際に積んでいるハコスカが走るところも見せていただいたところ、ハコスカの古臭いボディにバックタービンの音がすごい違和感。その違和感がかっこいいという方もいるかも知れませんが、“らしさ”を大事にしたい自分にとってはNAエンジンのほうが排気音も甲高くて好みだったのでRB25DE(NA)エンジンを搭載することに決定したのでした。かつて中二病全開の妄想で「ハコスカにRB26DETT!」とか言ってた少年もすっかり大人になったものです。
ボディを仕上げてから車検の切れる2年後、再びロッキーオートさんへ持ち込む日も、朝から箱根まで旧車仲間とツーリングして、そのまま愛知を目指しました。
L型エンジンで最後のツーリング。箱根大観山にて。
そして再びロッキーオートさんに預けることになったのでした。ちなみに奥がマイハコスカです。いつのまにか44年式グリルになってますが、途中で交換しました。いよいよ私のデアゴスティーニも最終章に近づいてまいりました。
今度は前回よりも短めの期間、待つこと約4カ月、完全体になったハコスカが私の手元に帰ってきたのでしたー!やったー!
ナンバーが3ナンバーになったけど見た目はあんまり変わってませんね。ちなみにまだ希望ナンバー取得前です。
でもボンネット開けるとRB25エンジンが!
オートエアコンも付きました。2500GTオーナメントは、ハコスカを待ってる間にウキウキと自分で図面書いて、ステンレスの板から削りだして作ってもらいました。
さて肝心の乗り味は、はっきり言って別物になりました。そりゃ、ぜんぜん違うエンジンなんだからそりゃそうなんですが、メーターや内装はノーマルの雰囲気のままにしてもらったので運転席から見える景色は変わらないのに、振動は少なく、でも音はうるさく、加速はびっくりするぐらい速くなっているというなんとも不思議な衝撃を受けました。
納車されたのは1月の寒い時期だったんですが、今まではこういう寒い時期に雨の中を走ったりすると、ハンパなく曇るのでタオル必須、場合によっては冬の雨でも窓全開だったのに、窓を閉め切って運転しててもエアコンのおかげでまったく曇らないのが驚きでした。文明ってスゲーのな。
やーやー、めでたしめでたし……と、締めたいところですが実は納車後に少々トラブルもありました。
納車後1カ月で4000回転以上吹けなくなってしまいました。自分でいろいろ調べた結果、燃料ポンプがごみで詰まってしまったようです。さっそく燃料タンクを降ろすことになるとは…。
さぞ中身はサビサビだろうと思いきや、ぜんぜんきれい。詰まってたゴミをよく観察すると、切粉のような銀色のゴミが多数ありました。今回、燃料ポンプもインジェクション対応のものに変えてもらったんですが、タンクの下から吸い出すように配管を変更したときに出たゴミが掃除しきれていなかったようで、それを吸って詰まった様子でした。
対策として、燃料ポンプ前に透明タイプの燃料フィルターを追加してから問題なくなりました。
4000回転以上吹けなくなったとき、こんなときこそコンサルト(R32から採用された日産の故障診断システム)で、ぴぴっと解決!…と思ったらどこを探してもコンサルトのコネクターが見つからないのです。どうやら走行に必要ないものだからと配線が省略されているようでした。せっかくセンサーだらけでコンピュータ制御のエンジンなのに、その旨みが半減なので、ECUの配線を解析して、自分でコンサルトコネクターを増設しました。
このもじゃもじゃの中から必要な配線をみつけて…
診断コネクターと仮接続
ちゃんと機能するようになりました。
コンサルトが動くようになると、「ATコントローラーが見つからないです」的なエラーコードが出続けているのが気になって調べてみたら、AT用のECUが付いていました。ニュートラル信号が切れたときに少しアイドリングが上がるくらいで特に問題はないんですが、精神衛生上よくないのでヤフオクでMT用ECUを探して交換しました。
コンサルトをつないで気がついたことがもうひとつ。車速信号が入っていませんでした。つまりアイドリングで空ぶかしをするような燃調マップで常にエンジンをコントロールしていたので、純正のパワーを100パーセント発揮できていなかったようです。
ドナーになったR32スカイラインは車速信号が2パルスという特殊なものだったので、汎用の4パルスの車速センサーを改造して取り付けました。取付後は特に大きくパワーアップとかはしませんでしたが、低回転のぎくしゃく感が減ってスムーズになりました。さすが純正ってよくできてる。
さて、ようやくここへきてマイハコスカは完全に力を発揮できるようになり、そしてクラッシュしました。このコラムはまだ続きます。
対向車が突然右折してきて避けきれずにそのまま…というパターンでした。
もちろん相手が悪いんですが自分の落ち度も否定できない事故でした。ショックでしたが、調子に乗ってた自分への戒めだと重く受け止め、きっちり直すことに。
この事故のときにお世話になったフライラットさんから紹介していただき、その界隈では有名な板金工場、永遠ボディ(とわボディ)さんで修復することになりました。
痛々しい姿…。でもレストア直後なのでラジエターコアサポートとか超きれいです。この程度で済んだのもボディ補強のおかげかもしれないですね。衝突テストってことで。
引っ張り出されてます。
さて、クルマ好きがクルマを壊したときというのは、すなわちパワーアップのチャンス。この事故のときも、転んでもただでは起きたくなかったので奮発してカーボンフェンダーになりました!
もちろん大人なので、しっかり同色に塗装してもらいました。
というわけで、今度こそようやく完結です。
ハコスカにRBエンジンを載せることで、新しいトラブルも含めて新しいハコスカライフが始まりました。
旧車に新しいエンジンを載せると否定的な意見を頂戴することもありますが、これもひとつのクルマの楽しみ方だと思っていますし、なにより自分がやりたくてやったことなのでまったく後悔していないことを考えれば、私はこれまで最高の選択肢を選んでこれたのではないかと思っています。
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第1回 ハコスカとの出会い
免許を取ってからずっとハコスカ乗ってる人。足車はジムニーだが、これもジムニーばかり3台も乗り継いでるという重篤な症状を持つ。ハコスカとジムニーだけという偏った車歴ながら、スポーツカーから働くクルマまで、クルマ全般が大好きなおじさん。1977年生まれ、神奈川県出身。