今回紹介するのは、行ってきたばかりの鈴鹿クラブマンレースです。今年2回目ですが、前回の第3戦は3時間耐久こそありましたが、ブランパンGTシリーズと全日本F3のオマケみたいになっちゃって、今回は実質今年初めてみたいなようなもの。
鈴鹿クラブマン最大の特徴は、3コースで開催されるということです。ビッグレースしか見たことがない人は、案外知らないかもしれませんが、鈴鹿はコースがふたつに分かれるんです。ちょっと前のWTCCがそうだった、と思い出してくれる方もいるかもしれません。東コースというのはグランドスタンドのある方で、ダンロップコーナーの先を右に回るショートカットを経て最終コーナーというレイアウト。西コースは130Rの先、シケインの手前がショートカットで、立ち上がったらデグナーカーブへと向かいます。だから、西コースの場合、1コーナーに相当するのが130R。ここにいきなり飛び込んでいくのは、ちょっと度胸がいりますね。
それと、もうひとつが言うまでもなくフルコース。これで3コースというわけですが、本当はフルコースが圧倒的に見ても、走っても面白いのは間違いないんですが、稼働率の高い鈴鹿の場合、空いている日曜日が少ないので、一方のショートコースで四輪を、もう一方のショートコースで二輪を開催っていう事情もあるので、しょうがないんですね。あと、大きな声じゃ言えませんが、オフィシャルさんの人数っていう切実な背景もあるみたいです。
東コースと西コースで、どっちがどうかというと、観戦や我々の取材が圧倒的に楽なのは東コース。というのは観客席もメディアセンターもあるから(笑)。レースが面白いのは西コース。抜きどころもボチボチありますからね。ただ、こっちは居場所がない……というか、メディアセンターがないのは昔からのことで、慣れちゃったんですけど、雨風しのげる場所がないのはお客さんにとっても大変で。ただ、クラブマンの西コース行って、雨降られたこと偶然にも一度もないんですよ、私。だから、今回もそんなに心配していなかったんですけどね。
西コースの場合、そういった条件を超えて楽しめるのが、バックストレート脇の土手にある観客席。本当に土手なんですけど、ここは素晴らしいパノラマで、バックストレートはもちろんのこと、130Rの飛び込み、デグナー、スプーンの飛び込みが見られます。ちょっと前までヘアピンもちらりと見られたんですけど、手前の木が茂っていて今は見えず。残念。ま、何はともあれ、体力の残っているうちはレースも、そこで見ることが多いんですが、土手を登って、レース後にはまた降りていかなきゃいけないのが大変で(笑)。
近頃はピット脇に映像とタイミングのモニターがありますから、体力が尽きた時、妥協しちゃった時はそこで。正直、見にくいんですが、この方が展開は把握しやすくて、特にいちばん何か起こりやすいショートカットを見られるのがいいんですけど(ショートカットだけは、土手の上からまったく見えません)、なんかせっかくサーキット来ている感じがしなくて、しかもストレートも見られないので、なるべく土手に向かうようにしているんですけどね。
ちなみに西コースには、皆さんがイメージしているようなピットはありません。あるんですけど、ごく小さいもので、中にクルマは入れられず。ピットロードに横づけしての作業は可能ですけどね。そもそも常にそこにいることができず、レースごとの入れ替わり。だから、ドライバーが走るたび、メカさんたちは工具やタイヤを運ぶわけですが、そのピットもまた高いところにありましてね、これも大変。コースイン直前にはその坂にマシンを止めるんですが、1年に何回か、坂道発進に失敗してクラッチを傷め、出走前リタイアなんてことがあります。笑っちゃいますけど、本当にある話なんです。
パドックはほぼ全員テント。ちょっと前までは売店もあったんですが、メニューが年を重ねるごと減っていって、今ではついになくなっちゃったという。リザルトもタイミングを逸すると、なくなっちゃって補充なしという、不便さ極まるコースではあるんですけど、最近じゃトイレもきれいになったし、体力の残っているうちは嫌いじゃない、っていうのが本音です。疲れてくると、ホントに嫌になりますが(笑)。
西コースの時は、まずのこの坂に整列して……。
その後、こうやってピットに整列したのち、コースインします。正直狭いでしょ?
グリッドはこんな感じです。バックストレートに並ぶんです。
と、西コースの紹介で、こんな文字数になってしまいました。いかん、いかん。思い入れありすぎだわ。どんなレースが行われているかは、次回後編で紹介させていただきます。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。