世界でも屈指の開催規模を誇るフランクフルトショー。毎回世界のメーカーから魅力的なニューモデルが発表されるのだが、今回ニューモデル以外で話題になったのが、出展取りやめを行ったブランドが多かったこと。
日系ブランドだけでも三菱、日産、インフィニティとなり、ほかにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)、ボルボ、プジョーなどがある。実際各メーカーがどのような判断で出展を取りやめたのかは定かではないが、フランクフルトショーでのドイツ系ブランドの圧倒的な存在感があるのは確かなようだ。
メルセデスベンツ、VW(フォルクスワーゲン)、BMWはグループごとに、大きな展示棟まるまる1個を貸しきって自社グループブースを形成しており、プレスカンファレンスでは大量のニューモデルを発表してくる。つまりドイツ系の存在感の強さのなかでは、魅力的なワールドプレミアモデルを用意するなどしても、情報発信力に限りがあるというのである。言い方は悪いがフランクフルトショーの会場を見渡せば、“ドイツ系とその他”というような表現も似合うようなアンバランスな印象も強く受ける。
そしてもうひとつが、オートショーの拡散である。近年では中国をはじめ、ASEAN諸国など、新興国で開催されるオートショーの存在感が高まっている。先進国での新車販売が伸び悩むなか、新興国での新車販売は堅調でまだまだ“のびしろ”がある状態。各メーカーの世界展開の違いを反映して、どのオートショーへ出展が効率的かという“取捨選択”が今後さらに進むことが予想される。そのなかで世界的なメジャーオートショーすら、その例外扱いではなくなってきていることを今回如実に現わした結果ともいえるのではなかろうか。
東京モーターショーでも毎回出展取りやめブランドが話題となるが、このままでは日本車メーカーのみとなり、“国際ショー”とはとても呼べなくなる日がくるのも、冗談ではなくなるかもしれない。
今回のフランクフルトショーは目玉モデルが少ないが、追加モデルなど“小粒ネタ”は充実していた(写真はワールドプレミアされたBMW6シリーズ)。
1967年北海道生まれ。新車ディーラーセールスマン、新車購入情報誌編集長などを経て現在フリー編集記者として活躍中。趣味は路線バスの“乗りバス”とアメリカ旅行そしてネコウォッチング。