こんにちは。小島です。
前回、タコ足っていうのはどんな働きをしてるのかを妄想しまくって、自分なりに良さげな形をなんとなく決めてみたわけですが、実際カタチにしようとするとこれがやっぱり大変で…(大変だったのは作ってくれたショップさんなんですけどね)。今回はその作業の様子をご紹介します。
さて6→1集合タイプのタコ足というのは、実はあまりハコスカに装着されていません。ハコスカのエンジンルームというのは意外と制約が大きいのです。
・L型エンジンの場合、カウンターフローのためタコ足の真上がキャブなので、上方向のスペースがない。(私のはクロスフローのRBですが、ノーマルエアフロセンサーとエアクリを生かすのでやっぱり上方向がキツくなります。)
・インナーフェンダーがバルクヘッドからラジエターサポートまでまっすぐ繋がっているため、横方向のスペースが少ない。
・リサキュレーティングボール式ステアリングなので、アイドラアームの取付部が邪魔で、6→1集合タイプのような集合部分が大きいタコ足は作りづらい。
おまけに私のはLよりヘッドがデカいRBだし、エアコンの配管やらコンプレッサーもあるしで、かなりきついエンジンルームとなっております。
そんな制約まみれのなか作業を進めていただいたところ、やはり問題が…。私の考えた6→1レイアウトはスペース的に不可能ということであっさりボツになりました。
S&Aの解決策は、横方向の張り出しが少なくなるようにレイアウトし直したものでした。
タコ足製作中の様子。横のスペースが厳しくてほとんど知恵の輪状態です。
集合部分からいちばん遠くて比較的まっすぐにつなげられる1番のエキマニの長さに合わせて他のエキマニを作っていくので、その長さを稼ぐために上方向、前方向の限られたスペースにまとめつつ、私のわがままの点火順序で並べるという、もう「作品」と呼びたくなっちゃうようなルックス。さすが年中クルマを作ってるプロだけあって、この複雑な取り回しを苦労してカタチにしていただきました。ただし、長さまで揃えるのは難しくなるようで、完全等長ではなくほぼ等長レベルとのこと。S&A曰く、等長にこだわるよりも排気の流れを邪魔しないように集合部分をきっちり作ることのほうが効果的とのお話でした。
集合部分。ここが吸出し効果を生み出す大事な部分です。
というわけで、そのほかにもいろいろ紆余曲折あったようですが、実際に出来上がったタコ足を装着して運転してみたら、このタコ足がホントすごかった!
排気の流れがスムーズになったせいか、アイドリング付近は今までよりも静かになったように感じます。排気音を絞れるエグゾーストコントロールバルブ(ECV)を付けていますが、バルブ閉めっぱなしだっけかな?…と勘違いするぐらい静かで落ち着いた音です。
アイドリングから少し踏み込んで、街乗りで常用する低回転から中回転域は明らかにトルクが太っていて、高めのギアで巡航してもぎくしゃくしなくなりました。前のタコ足だったら絶対にもたついてたはずなのに、今は街中をスムーズにゆっくり5速巡航できます。全体的にアクセルを踏む量が減って、クルマがするする加速していく不思議な感覚。低回転の音はすごくマイルドで、排気音よりもむしろデフの唸り音のほうが耳につくようになってしまいました…。街乗りでアクセルを踏む量が減ったので、燃費が8.0km/lぐらいから9.0km/l以上によくなったのも驚きです。(ただし、同時に駆動系の見直しとアライメント調整をしているので、燃費が改善したのはすべてタコ足効果ではないかもしれません。)
アクセルを踏みこむと、前と比べて明らかに吹けが軽く、加速Gの感じからもパワーが出てるのが体感できました。エンジンはもっともっと回りたがってるような感じがしますが、エンジンもECUもノーマルのためノーマルレブまで…。
踏みこんだときの音がまたいいんです。4000回転ぐらいから音質が変わりはじめて、そのままレッドゾーンに向かって甲高く響く感じ。まあ、普通の感覚の人からすれば十分うるさい音で、最大音量的には前とはほとんど変わってなさそうですが、音質がマイルドになっているので耳にやさしい感じがします。
例えるなら、今までの音は
「ゔぉぉぁぁああ゛ーーっ!!」
って感じだったのが、
「ふぉぁぁああーーー♪」
みたいな音になりました。
どんな音なのか、イメージ動画を見てもらうのが手っ取り早いですね。
まとめると、アイドリングは静かで、低回転から高回転まで全域でパワーアップして、燃費も良くなっちゃって、踏めばそりゃもういい音という、悪いとこがなさすぎて文章にするとうさん臭い感じすらする、すごいタコ足を作っていただきました。
最低地上高はむかしとほぼ同じものの、腹下のいちばん出っぱってるところが少し後ろになってしまったので、より擦りやすくなってしまいました…。
最低地上高を稼ぎたくて作ろうと思ったこのタコ足、本末転倒ではありますがせっかく作ってもらったすんごいエグゾーストシステムなので、ほんのちょっぴり車高上げて様子を見つつ、乗りかたも試行錯誤してみようと思います。
タコ足製作にあたって、てんこ盛りのわがままを聞いてもらいながら手間も時間もかけて作っていただいたこのタコ足、もちろん安くない金額でしたが、払った金額がぜんぜん惜しくない大満足のタコ足でした。悔やまれるのは、これだけはっきり違いを体感できただけに、前後でちゃんとパワーチェックとかしてデータを残しとけばよかったなぁ。
次回はより安心できる走りを目指して、リアサスペンション大改造編です。
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第7回 ハコスカ タコ足製作実行編
第6回 ハコスカ タコ足製作準備編
第5回 ハコスカ エンジン換装編
第4回 ハコスカ ボディ補強編
第3回 ハコスカ、何をいじったの?
第2回 ハコスカ乗りが出来あがるまで
第1回 ハコスカとの出会い
免許を取ってからずっとハコスカ乗ってる人。足車はジムニーだが、これもジムニーばかり3台も乗り継いでるという重篤な症状を持つ。ハコスカとジムニーだけという偏った車歴ながら、スポーツカーから働くクルマまで、クルマ全般が大好きなおじさん。1977年生まれ、神奈川県出身。