4日間、まるで一筆書きのような行程でした。まず新宿駅から東京駅に向かい、こだまで豊橋駅へ。そこから新城総合公園へ向かい、再び豊橋駅から中部国際空港。飛行機で福岡空港へ行き、さらに新幹線で熊本駅に。市電に乗って熊本市街、から〜のオートポリスで、再び戻った熊本市街からはバスで熊本空港、そして羽田空港へ。最後はバスで渋谷といった具合でした。
途中の宿泊なんかは省略していますが、何でこんなことになったかというと、私の所属する日本モータースポーツ記者会で「たまにはラリーでも見てみましょうよ」(言い出しっぺは私)ということになり、ラリー見学会が開催されたんですね。会員の大半がレース取材ばっかりだから、見聞を広めようということで。実際、私自身が今までラリー未体験だったので、これはいい機会だと。で、ちょうどいいタイミングに全日本ラリー選手権の最終戦、新城ラリーがあったので、そこに行ってみようとなったわけです。当然、私も参加。
そしたら、某誌から取材依頼が来て。「筑波かオートポリス、どうですか?」とね。うまい具合にラリー見学会は金曜日、土曜日だけだったので、日曜日は空いていたから、「大丈夫です」と返事したところで、当初は自宅に戻ってから、日曜日の朝にでも筑波に向かおうかと思っていたんですが、某誌がオートポリスのゴールドカップはなかなか取材できていなかったことと、耐久レースがあることが決め手になって、さらにいろいろ調べてみたら、十分移動可能だということもあって、「じゃあ、そっちでお願いします」となったんですね。
正直、戻ってきて今、この原稿を書いている段階では「きつかった」とは思うんですけど、どちらも行って良かった〜。まず新城ラリー。噂には聞いていたけど、想像以上のお客さんと盛り上がり。金曜日のセレモニアルスタートから見たんですけど、これが実にほのぼのとしていて。スタートって言っても、そこからガ〜っと行くわけではなく、コース脇の観客とハイタッチしちゃうくらいのスローペースなんですけど、その親近感が実に新鮮で。で、その段階からもう、「けっこう人いるなぁ」って思ったんですが、土曜日になったら、そんなもんじゃなかった。人口密度だけで言えば、スーパーGTぐらいだったんじゃないかな?
新城総合公園でのSS(スペシャルステージ)は1kmにも満たず、それほど競技結果に影響を及ぼしたとは思えませんが、でも競技車両があれだけ身近で見られる機会はそうはないわけですよ。来ているお客さん全員がSSを見ているわけではないのも興味深かったんですが、少なくても見ているお客さんは真剣な視線。で、なんでみんな見ているわけではないのか、というと、これはいい意味でのお祭りなんですね、主催者と自治体、協賛メーカーのコラボによる。
これはラリーのSS。よく見てもらうと、けっこうお客さんいるの分かりますよね?
だから、いくら初めてのラリーだからといって、ちゃんと取材したわけじゃないと、改めて思いましたね。ちゃんと山の中のSSも見て、しっかりドライバーの声を聞いたりしなければ、本当の意味のラリー取材じゃないと。だから、別の機会にちゃんとそういうことをしてみたいと、そういう気になったのが最大の収穫でした。でも、実際にやってみると大変だろうし、やったらやったで愚痴ばかり出るんでしょう(笑)。楽しちゃいかん。
で、オートポリスの方ですが、たぶん初めての耐久レースなんですよ、ゴールドカップで見るのは。これがなかなかよくできていました。300kmレースでピットは3回の義務づけ。こういったあたりは普通なんですが、1回の給油が20ℓまでで、連続25周以上の走行が禁止、さらにクラスごとピットでの停止時間が異なっているというのが、うまく効いていましたね。てっきりパワーに勝る、S2000やZ33で競われるSS0クラスが総合優勝を飾るかと思いきや、シビックやAE111なんかが競うSS1クラスが総合優勝という、意外性もあったし。
ローカルレースは通えば通うほどに、地元ドライバーと知り合える機会も増えるし、リザルト以外のいろんなことを知ることができるんで、どんどん楽しくなっていきます。岡チャレだけでなく、ゴールドカップも来年は全部取材できたらって、さすがにそれは無理か(笑)。
全体的に順調に進んだ強行取材でしたが、最後だけオチが。ほら、トランプ大統領が来ていたでしょう、それで首都高が真っ赤っかの、真っ黒けになっていたもんだから、帰りのバス到着がけっこう遅れたんです。そんなタイミングに遭遇するのが、何となく私らしい!
耐久レースを絶賛しておきながら、スーパーFJなんですけど(笑)。ずっと天気に恵まれました!
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。