私のコラムとか速報を読んで、レースに興味を持ってもらって、「今年からなんかやろうかな」なんて思ってくれる人がいたら、それはライター冥利につきるというものです。
だけど、何から始めたらいいのか、迷っている方も少なくないと思います。免許取ったばかりの若い人だったら、「スーパーFJでしょ」って速攻で勧めますけど、みんながみんなF1目指しているわけでもないでしょうし、また年配の方が「若いモンが目ぇ吊り上げて走っているようなレースには出たくない」と語っているのも、まぁまぁ聞く話です。それと、タイヤむき出しのフォーミュラに抵抗のある方も、少なからず存在しています。
入門レースっていうと、フォーミュラであるとか、ナンバーつき車両をイメージすることが多いと思いますが、決してそれだけではありません。むしろ普段、レースこそしていないけれど、チューニングカーやスーパーカーを走らせているっていう人には、乗り味に違和感とか物足りなさを感じてしまうかも。そういうのを克服して、速く走らせられるようになることを「奥が深い」などと言ったりしますが、そう感じるか感じないかは人それぞれ。
そこそこの速さが欲しいなら、今はシビックでしょうね。まぁ、一昔前のクルマですけど、レーシングカーに年式なんて関係ないし、その一昔前にかなりしっかり作り込まれているので、ポテンシャルは十分。シビックでいきなり「物足りない」っていう人はまずいないでしょう。で、何よりリーズナブル。ナンバーつきを購入して、一からN1車両を仕立てるっていうんじゃ、話は別なんですけどね。というのもEG6にしてもEK9にしても、逆に一昔前のクルマであるがゆえに、いい個体はプレミア価格ですから。なので、断然中古のN1車両。ピンからキリまでありますけど、下は50万円ぐらいで購入できます。そのぐらいだと、多少の手直しは必要なようですが、それによって自分色に染められるのも、きっと楽しいことでしょう。今なら、もてぎと筑波、鈴鹿、オートポリスで走れます。もしかしたら、富士も大丈夫かも。
でも、中には安くなくてもいい、という人もいるはずです。「いつかはポルシェ」なんて声をよく聞きますから、カップカーなんていかが? ただ、いきなりポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)は敷居が高そうですね。そこでお勧めなのが、GT3カップチャレンジジャパン。これは簡単に言っちゃうと、型落ちのカップカーを中心に、レーシングポルシェなら大概OKというレースで、まさにポルシェによる入門レースです。1日2レースというあたりが、経験を積み重ねるにはうってつけかもしれません。あと、同じようなレギュレーションで岡山チャレンジカップには、ポルシェトロフィーというのもあるので、これも関西の方にはいいかも。また、GT3カップチャレンジには、サーキットを転戦できるという魅力もあります。
ポルシェ以外にも、輸入車によるレースはジェントルマンをメインターゲットとしているので、外から見ているほど敷居は高くありません。最新の車両ほど、ABSやトラクションコントロールなどが装備されて、安全面をすごく考慮されているので、いろいろと探って見てください。ただし、コストは別ですけどね(笑)。
そうは言っても、私の今いちばんお勧めは、やっぱりVITA-01! ハコのようでハコでなく、フォーミュラのようでフォーミュラでなく(笑)。純粋なレーシングカーなのに、リーズナブルであるということで、瞬く間に全国に広がっていったのは、みなさんご存知のとおり。今年からレギュレーションの少しグレーな部分を、きっちり統一してくれましたから、よりイコールコンディションが保たれるはずです。で、VITAって今まで見ているだけだったんですが、そろそろ私も乗ってみようと思っています。今までいろんな方から声かけてもらっていたのですが、スケジュールが合わなかったりしていましたが、今年は合わせます(きっぱり!)。
正直言って、最近速く走っていませんし、マニュアルも久しぶりに愛車1号を引っ張り出して乗ったら、シフトチェンジ下手くそになっていましたし……。まぁ、勝負するわけではないから、そんなに速く走る必要もないでしょうから、自分の身の丈で走りつつ、今さらながらインプレッションでもお届けしたいと思います。なので、このコラムを読んで「乗せてやらんでもない」という方、ご連絡お待ちしております(笑)。
輸入車で一押しは、やはりポルシェのカップカー。旧モデルならタマも豊富ですしね。
アジアまで視野に入れると、ランボルギーニスーパートロフェオなんかも。すごく速いけど、ドライバーエイドも完璧なので、ちょっと腕に覚えのある方はどうぞ!
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。