この週末は、スーパー耐久が鈴鹿で幕を開けます。私自身、もう3レースも取材しているんで、「いざスタート!」って感じでもないんですが(笑)、シリーズの開幕っていうのは、「これから、どうなっていくんだろう?」ってワクワク感はありますよね。まして今年、スーパー耐久はコントロールタイヤがピレリに変わって、この前のテストではセッティングやドライビングに苦労しているチーム、ドライバーも少なからず存在したので戦力分布図にも違いが出るかも。また、ST-Xクラスはチャンピオン不在。「新たな覇権争いが始まる!」なんていうのは、書き慣れたフレーズですが、実際にそういうことになるんでしょう。
さて、そんなスーパー耐久のエントリーリストを見ていて、ふと気づいたのがフォーミュラ出身のドライバーが増えたなぁ、ってこと。ST-2クラスの7号車なんて全員そうだもんね。ST-3クラスの34号車には、昨年のスーパーFJ富士、東北二冠王の大草りき選手も出ているし。昔、むか〜しにまでさかのぼると、けっこうな数になりますね。
フォーミュラからハコ、これちょっと前ならあんまりなかったことなんですよね。服部尚貴選手がFJ1600でチャンピオン獲ったら、年末にオーディションがあって、翌年にはグループAに乗っていたなんて話もありますが、それって例外中の例外みたいな話でね。たとえば、FJ1600で結果を残した、それでF4か何かにステップアップして。でも、結果はまぁまぁ、もう1年続けたいけど、資金が尽きた、あるいは借金が大量に残った……ってなると、スパッと辞めていく人も多かった、っていうか、ほとんどだったんです。
でも最近は違いますよね。ハコへの転向がまったく違和感なくなっています。今だったらスーパーFJなんでしょうけど、そこでの結果を手土産にしてハコに移るっていう。中には即戦力として起用されるケースも増えているんでしょうね、それはいいこと。
思うに、目標が変わってきたんじゃないかと。昔のFJボーイズに「目標は?」って聞くと、九分九厘、「F1です!」って返事が返ってきていたもんですけど、今の若いドライバーだと1割いるかなぁ。で、スーパーフォーミュラっていうより、圧倒的にスーパーGTって返事だったりする。現実的なんだよなぁ。
でも、それだって簡単なことじゃないですよ、GT500はもちろん、GT300だってハイレベルですから。そこで、自らのキャリアアップをはかるべく、1段階スーパー耐久に、あるいはナンバーつきレースも挟んで2段階、ってすごく現実的に考えているんでしょうね。そういう時代になったんだなぁ、って気がします。
さて話はスーパー耐久に戻りますが、開幕戦は5時間レース! すでに鈴鹿クラブマンで3時間レースを経験している身としては、いきなり長いレースでなくて良かった、と少なからず思っています(笑)。あのクラブマン耐久、近頃でいちばん大変なレースでした。何せ3時間で6回ピット義務づけで、180秒のピットストップだっていうんだから、まぁめまぐるしい。あんなに展開を追うのが大変なレースって、そうはなかったですよ。同じ鈴鹿の耐久レースでも、ちょっと趣が違っていました。たぶん見る側のわかりやすさは、圧倒的にスーパー耐久の方が上なので、観戦にも是非!
GR 86/BRZ Raceも同時に開幕しますから、この週末なかなか楽しそうです。プロシリーズも、クラブマンシリーズもチャンピオンが継続参戦。シリーズ初の連覇にも期待がかかります。いずれにせよ、まためっちゃくちゃ忙しい日々が始まりました。気合いまた入れていきます!
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。