前回の悩みに関して反響もあったようで、FBを通じて意見などいただき、非常に感謝しております。ただ、このところ連戦、連戦で悩むヒマもかえってなくなってしまい、結論を導くまでには至りませんでした。まぁ、急いでどうなる問題ではないので、じっくり考えてみたいと思っています。
さて、その連戦の中にも、なかなか面白そうなレースを見つけましたよ。それがミニチャレンジアジア・ジャパンシリーズ。3年前からエキシビジョンレースはやっていたので、案外知っている方もいるかもしれませんが、今年から公認レースとしてシリーズがスタートしました。
どんなクルマかって言うと、ミニGT。小さいGTカーって意味ですね、そのぐらいクオリティは高そう。それは室内に組まれたロールケージだけでも感じられますし、エアロもそれっぽいんですよね。フロントのライトは黒く塗られているから、なんとなくそうなんじゃないかな、と思っていたとおりボンネットを外してみるとライトレス! これは「どうせスプリントなんだから、いらないでしょ? 着いていて割れたら、その分コストもかかるから、外しちゃおうよ!」ってエントラントの要望からなんだそうです。潔い!
ミッションはシーケンシャルで、なによりミニGTらしさはスリックタイヤを履いていることですよね。考えてみると、近頃スプリントレースでスリック履くのはPCCJぐらい。エンジンはマネージメントシステムでコントロールされているけど、ほぼノーマル。なんだけど、直4の2リッターターボですからね、260から270馬力といった感じで、それでも十分なんだけど、ボディが軽いんでね。1000kgをちょっと超すぐらいで、実際の規定重量はドライバー込みで1130kgということで、フットワークに優れることは間違いありません。
実際、開幕戦の舞台となった富士で、予選のトップタイムは1分56秒024。あとちょっとで55秒台でしたが、これはコンディション次第で確実に入るでしょう。ちなみにスーパーFJが1分52秒台でしたから、4秒しか違わないってのもすごい。ちなみに筑波でも1分02秒台が出ているそうで、またスーパーFJと比較しちゃうんですが、3秒差ってことで。
プロモーターであるジオミックモータースポーツの壷林貴也ディレクターによれば「イギリスで行われているミニチャレンジそのままのクルマで、自由が効くところはブレーキパッドにローター、シート、ステアリング、あとは油脂類だけ。基本はワンメイクで、アジャストできるのは車高とトー、それとダンパーは3ウェイのが入っているので、セッティングの幅は広いカテゴリーになっています」とのこと。開幕戦は10台のエントリーだったけど、トップ5は1秒以内で続いて、しかもトップ3はコンマ3秒差! 実際にイコールコンディションが保たれているという印象で、これはレースが面白くなると思ったんですが……。
決勝レースはあいにくの雨模様。それもけっこうな勢い。で、速報でも書きましたけど、セーフティカースタートになった上に赤旗で終了とは! 期待が大きかっただけに、かなり生殺し状態でしたけどね。まぁ、その思いはドライバーの方が大きかったでしょう。
気になる値段ですが、税抜きで890万円。見る人が見れば、この価格じゃできないだろうとなるそうですが、その秘密はバラしたノーマルパーツを売ることによって、890万円というびっくりプライスに反映させているのだとか。しかも、壊れないんだそうです。「最初に導入したのが一昨年で、それからかなりサーキットを走っているんですけど、正直言って1回も壊れていないんです。キャリパーも交換していないし、ミッションも開けていないし、ドライブシャフトも換えていません。毎回チェックはしているんですけど、全然平気。だから、ランニングコストとしては、すごく優しいクルマだと思います」と壷林ディレクター。
今年は5大会/全8戦での開催が予定され、筑波、岡山、SUGOで2戦ずつやった後に、また富士に戻って最終戦が行われます。次の筑波は難しそうだけど、岡山とSUGOでは見られるかな? また楽しみなレースが誕生しました。詳細はこちら(https://minichallenge.jp)を見てね〜。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。