こないだのザ・ワンメイクレース祭り2018富士SUMMER、与えられたミッションをこなすため、やむなくブランパンGTアジアとランボルギーニスーパートロフェオアジアの取材を断念しました。どっちも日本人ドライバーが出場していて、しかも結果を残してもいたから心苦しくもあって、本当にすいません。
さて、ブランパンの方はFIA-GT3で競われることもあって、だんだん知られるようになってきたと思うんですが、ランボルギーニの方はまだまだ……なんじゃないかと。そこでお勉強してきました! まず使用される車両の名称は「ウラカンLP620-2スーパートロフェオEVO」GT3と一緒で、ダラーラの設計、製作なんですね。1270kgの車体に、620馬力ものハイパワー! でもね、これワンメイクレースとして最大じゃないんです。フェラーリチャレンジの「488チャレンジ」が670馬力って言いますから、超されちゃっているんですが、そんだけあって50馬力の差なんて、あってないようなもんですよ。
それでもストレート、バカっ速なのは間違いない。リストクターの装着義務はないので、間違いなくGT3よりも速いはずです。当然ABSついて、トラクションコントロールもあり。で、エレクトリックアクチュエーターの6速シーケンシャルとあるので、きっとパドルシフトですな。シリーズはマレーシアのセパン、タイのチャーン、それと日本の鈴鹿と富士、その後に中国の上海を経て、最終大会とワールドファイナルが、イタリアのバレルンガで行われます。
レースは50分間で競われ、スタートから20〜30分間にピットインが義務づけ。クラスはドライバーのキャリアで分けられ、「PRO」、「PRO AM」、「AM」、「LC」となっていますが、最初の三つはもう言わなくても分かりますよね? 最後のLCっていうのはランボルギーニカップの略称で、シニアドライバーによる入門クラスなんだそうです。で、そのLCとAMに関しては、ひとりでの参加も可能ですけど、PROとPRO AMにはふたりで組んで、レース中のドライバー交代が義務づけられます。
ちなみにクルマの値段なんだけど、235,500ユーロってことなんで、1ユーロ130円として、まぁ3000万は超えるのは間違いなくて、さらに関税もかかるでしょうから、私には買えません(笑)。でも、リセールはポルシェのカップカーよりいいんだって。何より市販車のウラカンより安いんで、お得感はあるんだそうです。
でも、そういったスペックだけじゃ、どんなクルマ、どんなシリーズかわかりませんよね? そこで日本人ドライバーのコンビでフル参戦している、HOJUST RACINGの松本武士選手に話を聞いてみました。
「クルマとしてはそのままです、『猛牛!』って言われる(笑)。最近のレーシングカーっていうかGTって基本的に、ダウンフォースがあって、タイヤがしっかりグリップするし、電子制御も効いて……という、比較的ドライバーに優しいってイメージなんでしょうけど、トロフェオに関しては電子制御が必要最小限に抑えてあって、タイヤはちょっと細めでグリップは低く、なおかつダウンフォースも必要最小限な上に、トレッドも狭いんです。だから、直線はGT3より伸びるんじゃないかってぐらい速いんですけど、コーナーではかなり暴れん坊。ドライバーがものすごく頑張ってコントロールして、運転の技術を競い合うっていう、レースカテゴリーだと思います」と松本選手。
ちょっと意外。AMことジェントルマンドライバーにも門戸を広げているぐらいだから、特に電子制御バリバリの乗りやすいクルマかと思っていたのに……。
「めっちゃくちゃ暴れん坊です。ただ、このトロフェオを乗りこなして、GT3とか別の車両に乗ると、すごく乗りやすいと思うんです」と続けて松本選手。
じゃあ、どんな雰囲気でレース行われているんでしょう? それは次回のお楽しみさぁ(笑)。
Photo:H.Minami
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。