前回のコラムが思いのほか反響があって、多くの方から意見をいただきました。富士のパドックでもドライバー、関係者からも声をかけてもらって共感してくれたんですが、実際のVITA関係者は富士にはほぼいなかったこともあり、「そんなことになっているんですね、ひどいねぇ」という意見が大半。悪い意味じゃないんですが、皆さんローカルレース事情をご存知ない。
まぁ、仕方ないですよね、なにせモータースポーツ誌がローカルレースを扱ってくれない。理由としてはニーズがないからで、今は個人で発信できる時代ですからね。もはや雑誌の片隅に名前が載っただけで喜ぶ時代ではないので。リザルトだって、そのサーキットのHPを見れば確認できるわけで便利なこと、この上なし。昔は雑誌でしか確認できず、それもタイムラグがあって、しかもせいぜい10位とか6位までという……。
話は脱線してしまいましたが、ピンポイントでの情報はいくらでも得られます、かなりディープに。ところが、広く浅く、全体を……って話になると、トータルを扱っていてくれた「力」がないのが残念です。だから、皆さんご存知ない。
で、私はもうひとつ肝心なことを伝え忘れていました。富士と筑波、もてぎという近場のサーキットで同日にレースを開催されると、ドライバーやガレージと同等、もしかしたらそれ以上に困ってしまう存在がオフィシャルでありました。あの方々は、すごいギャラもらってやっているわけではなく、ボランティアとか手弁当にも匹敵する報酬で、一日中イベントの運営に携わってくれているのです。オーガナイザーの偉い人は知りませんよ。
決して楽な仕事ではないはずなのに、きっと「あっちにも行ってあげたいが……」と、あの週末は思ったはずなんです。当然、分散もする。人が少ない、負担も増す。大変だったはずです。そういう人たちの思い、苦労なんかをもっと考えてくれれば、自ずと今後はスケジュールをしっかり調整してくれる……と信じています。
この件はここまでにして、SUPER GT×DTM特別交流戦、なかなか見応えありましたね。特にレース2の意地の張り合い、ありゃなかなか見られるもんじゃないですよね? で、すごく感じたのはタイヤがハンコックのワンメイクで、いろんな側面が見られたこと。日本勢がホッケンハイムに乗り込んで行った時は、かなり痛い目にあったようですが、そこから学習して、最終的につじつまを合わせられたチームが存在していた、という事実。それは、まずさすが。
その一方で、GTはタイヤコンペティションがあるがゆえに、タイヤの性能に助けられていたチームもあれば、逆に足を引っ張られていたチームもいたんだなぁ……ってのが分かっちゃった。これは誰も否定しませんよね? 競争があるから、面白くなっているのは紛れもない事実ですが、なんだろう、それで面白くない思いをしているっていうの、なんか変ですよね。まぁ、今回のレースで報われたのは間違いありませんが。
やっぱり、やる側も見る側も単純に面白い、ってことではタイヤはワンメイクの方がいいって、つくづく思いますね。ついでにウエイトハンデなんかもいらない。こういう特別戦だから可能なのかもしれませんけど……。
どさくさに紛れて言わせてもらいますが、あのワンメイクレースだって、そろそろタイヤはワンメイクにすべき。全体に体力あるうちに、なんとかしないと。「今はうまくいっているから、頑なになっているけど」と、あるベテランドライバー。つくづく私もそう思っています。
GT300のスプリントカップも、主に経済的な理由によって台数は極めて少なかったんですが、それはそれで面白かった。次があったとして、レギュラーがこぞって参加したとしても、今回のコルベットみたいな他シリーズのFIA-GT3の殴り込み、みたいな枠は残しておいて欲しいですね。コルベットがちょっとした「黒船」的な存在で、レースを盛り上げてくれましたし。海外のチームが出てくれるっていうのも、悪くないでしょうね!
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。