スーパーGT最終戦は、本当にすごかった! au TOM’S LC500の関口雄飛選手とWAKO’S 4CR LC500の山下健太選手のバトルなんて、あれ間違いなく歴史に残りますね。鳥肌立ったもん。当たってもいるし、最終コーナーをショートカットしているから、ひょっとしたらペナルティ? 果たしてダメージはないのか? だけど、心配は一切無用でしたね。ペナルティが出ていたり、その後に止まっていたりしたら、すごく後味悪かったでしょう。そんな終わり方、誰も望んでいなかったので、本当に良かったです。
勝ったんだけど、KeePer TOM’S LC500の平川亮選手とニック・キャシディ選手は、やっぱりチャンピオン獲れなかった悔しさで、レース後の記者会見なんて、すごく言葉が少なかったし。まさに悲喜こもごもではありました。
GT300も予選のスピンから17番手に甘んじながら、K-tunes RC F GT3の新田守男選手と阪口晴南選手が3位表彰台に上がるなんて、誰も思わなかったでしょうし、最後まで諦めない姿勢はさすがでした。それに比べると、ARTA NSX GT3の高木真一選手と福住仁嶺選手には、明らかな余裕がありましたね。ポイント差は十分あったけど、過去にそういうレースを落としてもいるから、高木選手はどう構え、何をすべきか完璧に心得ていた感じ。
そのGT300のトップをひた走っていた、LEON PYRAMID AMGの最終ラップ、あれも衝撃的でしたね。タイヤ無交換でロスを最小限にし、しかも安定したペースを刻んでぶっちぎりのはずが一転、天国から地獄とは、まさにああいうことを言うんでしょうね。それでも、チェッカーを受けられたから良かった。今年は連覇を狙ったはずが、つらいレースも多かったから、最後に報われるはずだったのに……。「ガソリン攻めたわけじゃなくて、しっかり計算して、(途中の給油で)ちゃんとタンクには入っているのに。誰のミスでもない。帰ってから検証しますけど、ドライバーふたりには勝たせてあげたかった」と黒澤治樹監督。本音でしょう。
とにかく、見どころのいっぱいあったレースでした。こういうレースを見た人は、得した感強いでしょうね。いちばん理想的なのは、やっぱ「生」で楽しんでもらって、帰ってからJスポーツのオンデマンドで見直すという! こんなこともあったのか、って確認ができます。はい私、Jスポーツの仕事もちょっとやってますんで(笑)。宣伝です。
しかし、つくづく思いましたよ。スーパーGTって、なんでこんなに人、入るんだろうって。当初、前売り券はそんなに売れてなかったらしいんですが、雨の心配がないってことで「ならば、行ってみよう!」ってなったのかな? 日曜の朝なんて7時ぐらいから周辺が渋滞してましたもの。とにかく人、人、人。パドックを移動するのも大変でしたし、観客席もかなり埋まっていました。
本音を言えば、こういう来てくれたお客さんに、いろんなレースを見てもらいたい。今回のスーパーGTは別格だったけど、他にも面白いレースはあるわけで。まぁ、これは口を酸っぱくして言い続けていることであって、サポートレースに単発でいいから入れてもらえればいいんだけど、タイムスケジュールの関係上、限りなく無理なんだそうです。もったいないよね〜。
もっとも、GR 86/BRZレースがあれだけ盛り上がって、プロシリーズなんて相当人気ドライバーが集まっているのに、それだけじゃお客さん集まらないのが本当のところで。インタープロトシリーズだって、やっぱりプロ同士の戦いですごく面白いのに、少しは増えているって言っても、徐々に……って感じでしょう? なんか問題があるのか、足りないんだと思うんですよ。それが分からない。誰かお知恵貸してください〜。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。