こないだの週末に起こった、ある「異常事態」について書かずにはいられません。ただし、それに関して私が迷惑を被った、とかそういうわけではないんですが。かねがね私は週末のレースのバッティングに対し、苦言を呈してきました。それでも開催するレースが、それぞれ異なるなら、まぁ仕方ないとなります。ところが、この11月の第2週に関していえば、もてぎと筑波、富士でレースがあって、そのうち筑波以外ではスーパーFJを開催し、VITAに至っては3サーキットすべてで開催されていたという!
さらに鈴鹿ではサウンド・オブ・エンジンが開催されて、富士に続いてVITAによるレジェンドカップが行われていたと。まだまだ! オートポリスでもVITAによる、2時間耐久が開催されていたんです。「どういうこと?」って感じでしょ。さすがは200台オーバーのVITA、「安い、軽い、楽しい」の三拍子を誇るクルマですから、あっちこっちで引っ張りだこなのは分かりますが、なんで5サーキット同日に分散しなきゃいけないのか。
中には土曜日に富士でFCR-VITA出て、日曜日にはもてチャンという、イノウエケイイチ選手のような猛者もいました。すごい! でも、例外中の例外ですよね、そういうの。別な日だったら、オートポリスで初めての耐久に出てみたかったという人もいたでしょうし。そもそも関東の3サーキット同日っていうのが、私にはどうにも理解できません。まぁ、ドライバーは身ひとつだから仕方ないにせよ、メンテナンスガレージは1台だけ賄っているわけでなく、それも近年はスーパーFJもやる、VITAもやるというところが多いわけで。
部隊を分けて、なんとかやっていたガレージもあったようですが、営業妨害もいいところだと思います。筑波が10台? おそらく。というのも、このコラムを書いている時点でリザルトも上がっていないから。もてぎは4台。富士のFCR-VITAは頑張った、24台! もし、富士以外の偉い人が「エントリーが少なくて、やってられないよ」なんて言っているようでしたら、私、ぶっ飛ばして差し上げます。配慮もなければ、魅力もないんだから当然のことなんですし。
もう「今までウチは、この週末でやっていたんだから、よろしくね」っていう時代じゃない。エントラントに見向きされなくなる以上に、ガレージが立ち行かなくなって、走らせる人がいなくなる、ということにもなりかねないんですから。そうなれば、共倒れでしょ? もうちょっと綿密に、サーキットごとお互いを尊重しあってスケジュールを組むべきだと思います。
それが可能であれば、VITAだけじゃなくスーパーFJもそうですが、何か手を加えることなく、全国のいろんなサーキットを走れるクルマなんです。常に複数のシリーズにまたがって参戦するっていう人は、そう多くもないかもしれませんが、スポットで「たまには、あっちのサーキットでもレースしてみようか」って人は少なからずいるはず。そうなればウィン・ウィンなわけでしょう? そういうことを、どうして考えないのかな、と本気で思います。
それにしても、最近のローカルレースはまさか「やらせてやってんだから」とは思っていないでしょうけど、エントラントに対する配慮が足りないような気がしてなりません。現実的じゃないほどのインターバルの短さ(なんかあれば、当然のように、その分まるまる遅れていく)もそうですし、そう、今年のスーパーFJ日本一決定戦のタイスケを見て、驚いてしまいました。
レースウィークのスーパーFJの練習走行は、金曜日に20分間2回だけ。いったい何周走れて、初めてのドライバーがどれだけ覚えられるの、って。ならば、水〜木とかで走ればいいじゃない、と思った人は賢明。でもね、その週はずっと鈴鹿、貸切走行が入っていて……。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。