志村けんさんが亡くなった。続いてオートポリスでこの週末、開催されるはずだったゴールドカップ第1戦が延期になった。と思ったら、スーパーGTの第2戦、第3戦、そしてスーパー耐久の第2戦の延期も決まった。いったい、なんて日だ。日曜日、大雪の丸和オートランド那須にも驚かされたけど、こんなショッキングなことが相次いて起こるなんて。
もちろん、志村さんの死とレースの延期を同列にするなんて私だけでしょうが、いずれにせよ今までの考え方を改める必要もあるんじゃないか……と思っています。
普段から在宅ワークのようなもので、平日は不要不急の外出は控えてきました。その一方で、2月から週末はほぼ毎週サーキットに赴いておりました。すべてローカルイベントの取材で、観客はいないか、いてもごく少数。エントラントも鈴鹿クラブマンだけは少々多かったですが、その他のイベントは大した人数ではありませんでした。
私個人の考え方として、取材は決して不要不急の用事ではなくて、たとえば大相撲やプロ野球のオープン戦などがそうだったように、無観客試合でも放映、報道があったように、必要なことだと思っています。たとえローカルイベントといえど競技があって、その結果と内容を報告するという意味において。
その上で、ドライバーに対して、数少ない「濃厚接触」の対象であった私は、しっかり予防、対策すれば何ら問題はないだろうと。まして、サーキットは屋外で行われるスポーツです。だけど、私にも感染の可能性はないわけじゃなくて。しかも、志村さんという、遠くても、TVを通じた近い存在が亡くなるという現実を、改めて実感したならば……。
しっかり対策をしてくれているなら、無観客であるとか、観客の少ないローカルイベントは開催してもいい、というか開催すべきではないか、っていうのが今までの持論でした。実際、オーガナイザーはそういう対策をしっかりしてくれました。なので、5戦とかそのぐらい、少ないシリーズが1戦減ったり、延期されたりしてしまうと経済的な影響は小さくないと考えていたから開催すべきかと。ただ、小さくないというのは、もはや現在の社会全体に当てはまること。正直、分からなくなってしまいました。
少なくても、今週中は取材がないので、完全に在宅ワークになります。その間に考えもまとまるかもしれませんけど、予防・対策はもちろんのこと、しっかり内部までアルコールで消毒しているから、自分は大丈夫だろうなんて気持ちは、まったくなくなりました。その一方で頑張ったドライバーの存在を、伝えたいという気持ちは消えてはいません。
本来なら、悪戦苦闘はしましたが、何とか取材をこなせたダートトライアルに関して、楽しく話題を進めようと思ったんですが、こうショッキングな話題が相次いで舞い込んできては、仕方ありません。昔話と合わせて、改めて報告させていただきます。
オートポリスに行けないのも残念。スーパーFJが16台で、岡本大地選手が宣言どおり遠征してくるとか、ますます盛り上がりを見せるVITAに西の大ベテラン、テツ清水選手がエントリーするなど話題も豊富だったので、すごく楽しみにしていたんですけどね。
何と言っても新型コロナウィルスの早期収束、そして志村さんのご冥福を心からお祈りします。我々に警鐘を鳴らしてくれた、たるんだ気持ちに喝を入れてくれたということで、きっと後々の日本人にとって、最高の恩人になってくれるんだと思います。残念ですけど……。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。