今年、D1GPとフォーミュラDを戦う田口和也選手から、D1GPお台場のレポートが届きました。コース上での出来事を本人が細かく語ります。
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この度、私田口和也は【TeamUPGARAGE】として各スポンサー企業様のサポートのもと、D1GRAND PRIX Rd.1/2 お台場特設コースに参戦してまいりました。
D1GP Rd.1/2の会場はお台場特設コース。土日両日ともに決勝が行われるデュアファイナルズとなり、非常に重要な開幕戦となった。今回審査には機械採点システム【DOSS】を使用した。第1セクターでは区間内最高速度を計測する為、短い加速区間でいかにスピードを乗せられるかが鍵となった。高い速度から鋭く振り出し、第2セクターでは角度の安定を保ちつつ、速度を落とさぬように第3セクターに進入する。第4セクターでは鋭く振り返し、第5セクターは高い速度と角度を維持したままフィニッシュするといった流れ。路面は非常に粗く、バンピーな為、丁寧な運転が求められた。
予選前の練習走行は2本(各15分間)。1本目の走行時は気温・路温ともに非常に低く、フロントタイヤに熱が入れられないこと、サスセットがバンピーな路面(凹凸の多い路面)に全く追従しないことが原因で思うように走行することができなかった。練習走行1本目の最高得点は96.31点。3・4・5セクターの点数は悪くないものの、配点の高い1・2セクターの点数が低い為大きな改善が必要となった。
2本目の練習走行を迎える前にフロントのスプリングを7キロから9キロに変更。フロントのトーを更にアウトに調整。フロントタイヤの内圧を0.5キロ下げ、減衰をハード方向に変更した。結果、第1セクターではノーズが入りにくくなったものの、プッシュアンダーも無くなり、ドリフト中の姿勢に安定感が増した。練習走行2本目の最高得点は98.80点。進入速度は111.9キロ。今ラウンドはタイヤに十分な熱入れができないためにミスが出やすいと判断し、派手さには欠けるが第1セクターはサイドブレーキを使った進入方法を選択した。
予選走行。37台中16台が翌日の単走決勝に進むことができる。
予選1本目。力まず、狙わず、丁寧にマシンをドライブすることのみに集中した。第1セクター飛び込み時に若干のアンダーステアが出たがそれ以外は特に大きなミスもなく走り切り、得点は96.42点。
予選2本目。走行直前に雨粒が落ちる。路面は完全にウエットになった。無理はせず、全セクターをドリフト状態で走り抜けたものの得点は87.08点。1本目の走行得点が採用され、Rd.1の予選は10位で通過となった。
単走決勝。シード選手も混ざり、24台から16台に絞られる。午前9時10分から15分間、チェック走行が行われた。予選時とセットは変えず走行、トラブルもなくチェック走行を終えた。路面グリップは予選日より低く、雨が降ったり止んだり不安定な天候となった。
単走決勝1本目。時刻は午前11時30分。開始直前に大きな雨粒が落ち始めた。セクター毎にグリップ力はまるで違い、ラバーが乗った路面が濡れ、非常に危険な路面状況となった。ドライ路面では3速で第1セクターに飛び込んでいたが、路面グリップが読めない危険な状況の為、2速進入を試みた。とにかく角度の安定を意識し、アクセルワーク・ステアリングワークに気を使って走行した。速度は無いものの、大きな角度を保った状態で安定してフィニッシュラインまで走り抜けることができ、得点は94.98点。単走決勝は4位、追走決勝に駒を進めることができた。
追走決勝。Best16 相手はTeamD-MAX 平島 明選手。(NISSAN S15シルビア SR20DET NANKANG TIRE)
1本目は私が先行。天候は落ち着いてきたもののいまだ路面は濡れている箇所が有ったために、2速発進をし、シフトアップ無しの2速進入を試みた。ところが第2セクター手前でクラッチを繋いだ瞬間に駆動系から大きな異音が出た。マシンは前に進まず、失速。後追いの平島選手と接触してしまう。手押しでホットピットに戻りマシンをチェック。運転席側のドライブシャフトが折れていた。5分間で修復することはできず、残念ながらリタイヤとなった。
Rd.2公式予選。追走決勝終了直後に行われた為、NATSのメカニック3名により早急にドライブシャフト交換が行われた。Rd.1同様に37台中16台が翌日の単走決勝に進むことができる。
予選1本目。時刻は15時30分。路面温度が低下し始めている状況。マシンのセットに変更は施さず、必要以上にタイヤに熱を入れ、走行に挑んだ。路面はドライだった為、1速発進、3速進入を試みた。無駄なホイールスピンが多くなってしまい、全体的な車速が落ちてしまった。得点は96.21点。
予選2本目。進入速度を上げるためシフトポイントをずらしたが、路面のギャップを超えるタイミングとシフトタイミングが重なってしまい3速ギアが抜けてしまった。それにより大幅にリズムを崩し、ドリフトが戻ってしまい、得点は53.02点。1本目の走行得点が採用され、Rd.2の予選は12位で通過となった。
単走決勝。シード選手も混ざり、24台から16台に絞られる。Rd.1同様15分間、チェック走行が行われた。
Rd.2決勝日は金曜・土曜に比べ、路面温度が大幅に向上した。リアサスの減衰をハード方向に変更し、チェック走行に挑んだ。路面温度が上がったことにより、フロントタイヤにも十分な熱を入れることができ、プッシュアンダーは出ることがなくなり、単走決勝に向け不安なく走行することができた。
単走決勝1本目。時刻は午後13時30分。路面状況の違いにより、各選手がそれまでとは全く違う得点を出し始めた。角度の安定だけではボーダー点数まで届かず、第1セクターにおける進入速度と角度が高得点への鍵となった。それまでの走行同様大きなミスは無かったが、加点ポイントもなかった。全体的にまとまった走行により得点は96.87点。
単走決勝2本目。第1セクターの点数を伸ばすべく、振り出し位置を奥に変更した。しかし、角度の付き方がダルくなってしまい、伸び代は僅か。2本目の得点は96.96点となった。残念ながらボーダーまで0.02点届かず、追走決勝進出とならなかった。
デュアルファイナルズということで今シーズンの流れを決める非常に重要なD1GP開幕戦。KR20AとNEWマシンの組み合わせでD1GPに参戦するのは初だったが、チーム体制・マシンの戦闘力向上が感じられたラウンドとなった。2ラウンド連続決勝進出することができ、DOSSの攻略もより深いものとなった。
次戦、D1GP Rd.3筑波サーキットではよりマシンスペックが高くなりますので、更に良い順位を狙って頑張ってまいります。応援のほど、よろしくお願いいたします。
Rd.1 予選10位・単走決勝4位・追走Best16敗退・総合10位
Rd.2 予選12位・単走決勝17位
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<田口和也選手 プロフィール>
1992年11月18日生まれ 24歳
身長:170cm 体重:55kg
東京都町田市在住
北海道恵庭市出身
日本自動車大学校卒業
アップガレージ本店勤務
Facebook / twitter / Instagram / Ameba Blog
<主な戦績>
2016年FormulaDriftJapan シリーズランキング第4位
JAF国内Aライセンス所持
<マシンの主なスペック>
マシン:NISSAN S15 SILVIA (UPGARAGE SILVIA S15)
エンジン:TOMEI GENESIS SR22DET
ミッション:繁原製作所シーケンシャル6速ミッション
オイル:PREMIUM JAPAN DELTA OIL
フットワーク:DG-5/MEGANRACING/wisefab
ホイール:WedsSport TC-105N
タイヤ:KENDA KR20A
エアロ:BN SPORTS
<チーム体制>
監督:岩城 由悟
スポッター:細川 由衣花
メカニック指揮:海老原 淳也
メカニックサポート:派遣学生2人(甲斐 久南太君/村沢 貴大君)
ドライバー田口の母校である日本自動車大学校様ご協力の元、海老原先生、派遣学生2人、計3名でメカニックサポートをしていただきました。
2016年7月からスタートしたエリアアグネスでは、カッコいいクルマやバイクの写真から、モータースポーツ、日常のカーライフまでさまざまな話題をお送りしています。編集部とは言いましたが、編集長不在、部員は1名です(笑)