9月は「ドサ回りの鬼」と化して、先々週の鈴鹿、先週の富士に続き、今週は岡山におりました。で、来週もSUGOです。ここまで極端な月間は、我ながら珍しいというか、たぶん初めてだと思います。もともとローカルレース大好きな私ですから、まったく問題ありませんが!
ここまで無傷の4連勝で、タイトルに王手をかけた岡本大地ながら、その前に思いがけぬ刺客が。それは昨年のチャンピオンである兒島弘訓で、急きょ参戦を決めたという。しかし、岡本は「タイムを出した周もシフトミスがあったので、もう少し行けたと思います」と語るも、コンマ2秒差で兒島を抑えてポールポジションを獲得する。一方、唯一逆転の可能性を残す大島和也はエンジントラブルに見舞われ、3番手に留まってしまう。決勝でも大島のエンジン不調は癒えておらず、スタートで大きく順位を落としたばかりか、早々に戦列を離れる羽目に。
一方、絶妙のスタートを決めた兒島だったが、1コーナーで岡本の前に出るまでには至らず。じわりじわりと差を広げていき、見事5戦連続のポール・トゥ・ウィンで最終戦を待たずして、岡本はチャンピオンに輝くこととなった。「目標のひとつを達成できました。もうひとつは日本一決定戦も勝って、今後につなげることです。今は率直に嬉しいです。スタートだけが少しやばかったんですが、その後はしっかり引き離すことができました」と岡本。兒島に続く3位は、村松日向子が獲得し、初めての表彰台へ。「前のふたりに離されて課題はまだ残しましたが、こうやって表彰台に乗れたことは、今後の自信にもなりそうです」と。
最後まで兒島を寄せつけなかった岡本が5戦5勝で、早くもチャンピオンを獲得!(Y.YOSHIMI)
ポールポジションを獲得したMUSASHIながら、決勝では絶妙のスタートを切った松島豊の先行を許してしまう。だが、オープニングラップのバックストレートで早々とトップに返り咲き、そのまま逃げていくかと思われたものの、5周目になってがくんとペースが鈍り出す。これで松島、小山雅也が急接近して3台で激しいバトルを繰り広げるも、それはMUSASHIにとって、想定の範囲だった。「予想以上にリヤタイヤが厳しくなって、このペースでは最後まで保たないと。それで抑えたんですが、間合いだけはしっかりとって走りました」とMUSASHI。なお、最終ラップのWヘアピンでは「前しか見ていなかった」松島を、小山がパスして2位に。その結果、小山がランキングのトップに立つも、3連勝のMUSASHIと松島とはたった1ポイント差に。最終戦でのタイトル争いが大いに見ものである。
最後まで激しい三つ巴でのトップ争いを繰り広げたポルシェトロフィーは、MUSASHIが3連勝(Y.YOSHIMI)
マーチやAE86がいなくなってしまったとはいえ、34台での争いと活況を呈する2H耐久。そのちょうど半数を占めるVITA勢を従え、ポールポジションを獲得したのはOTHERクラスのS2000を駆る青合正博/浜野彰彦組で、コンマ1秒差でN1-86クラスの末長一範/中山雄一組、そして同クラスの平木湧也/松永雅博/平木玲次組が続いていた。
だが、予選6番手ながらVITAクラスのトップだった、元嶋佑弥が決勝ではオープニングラップのうちに2番手に浮上。そして2周目には青合を抜いて、元嶋はトップにも躍り出る。そのまま逃げ続けた元嶋は、2スティント連続走行でさらに差を広げて、残り35分となったところで、ようやくパートナーの近藤善嗣にバトンタッチ。大量のリードに守られた近藤は、まったく危なげない走りを見せて、2位に1分20秒近くの差をつける圧勝となった。「いい運動になりました。まぁ、このぐらい走らないと(笑)。近藤さんも速かったし、クルマもすごく決まっていました」と元嶋が言えば、「さすがプロ! 僕だけの力じゃこうはいきません」とパートナーの激走に脱帽の様子だった。2位は青合/浜野組が獲得し、3位は堀田誠/阪口組。そしてN1-86クラスでは、平木湧也/松永/平木玲次組が優勝し、総合5位につけることとなった。ロードスタークラスでは金森成泰/妹尾良太組が優勝。
2H耐久で総合優勝を飾ったのは、VITAを駆る近藤/元嶋組だった(Y.YOSHIMI)
激戦が繰り広げられたN1-86クラスでは平木兄弟と松永がドライブする茨城トヨペット86が優勝を飾る(Y.YOSHIMI)
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。