今年最後のレースが、ようやく終わりました。まぁ、毎度毎度、天気のことばっかり書いていますけど、早朝のサーキット上空は雲ひとつない快晴で、レースも終わる頃には寒くなったけど、天気には恵まれたなぁ……って思っていたんです。それなのに、終わってしばらくしたら雪ですよ、雪! 思わず仕事もそこそこに、逃げるように帰りました。中央道で帰ったんですけど、須走までの道中が本当につらかったです。こんなエンディングは、いかにも私らしい。
今年で7回目の開催となるナンバーつきヴィッツ、86/BRZによる6時間耐久レース。ポールポジションは青木孝行が獲得するが、「燃費とかペース配分とか、僕ら初めてなので分からないので、いつものとおり走って華々しく玉砕します(笑)」と、語っていたとおりの展開に、決勝レースはなっていた。まわりが燃費走行に徹する中、青木が圧倒的なペースで周回を重ね、最初のピットストップまで1分20秒もの差をつける。が、その分、他のチームより1回給油が多くなり、義務づけられた停止時間が6分間とあって、レースの大半を支配しながら、青木/北尾洸太/松井仁志組は6位に入るのが精いっぱい。
一方、連勝を狙った小河諒/近藤翼組は予選3番手からのスタートで、序盤は燃費走行で順位を下げるも、終盤にじわりじわりと順位を上げていく算段を整えていた。なのに、序盤のうちにタイヤトラブルが発生し、イレギュラーのピットストップを強いられたことが命取りに。ラスト7分間で3番手に浮上し、さらにもうひとつ順位を上げるべく最後までプッシュしたものの、表彰台に立つに甘んじた。そして、追いかけられた松本晴彦/長島大輝組は、1周目にピットに入ってクリアラップを取り続ける作戦が大成功。最後は燃費が厳しく、大幅なペースダウンを強いられてなお、逃げ切りを果たすことに。
そして優勝を飾ったのは、元嶋佑弥/小松一臣/小原侑己組だった。予選は4番手ながら、序盤はなりを潜める形で周回を重ねるも、先行するのは燃費走行をしなかった車両だけ。そう行った車両が早々にピットに入ると、やがてトップに立つように。そして、終盤には完全にレースを支配下に置いて、最後は2位にすら1分20秒差の圧勝に。
「(86/BRZレースの)最終戦に出ないで、その前からテストをしていて、このレースに賭けたのが最大の勝因です。全部作戦どおりどころか燃費も良すぎて、1/4も余ったって。もっと行けたけど、行かずに済んだから余裕もあったし、クルマも壊れなかったんじゃないでしょうか」(小松)
「最初のスティントで、元嶋さんがすごくいい走りをしてくれて、最初から僕らに余裕を持って渡してくれました。個人として、チームとしても久しく勝っていなかったので、こういう結果を出すことができて、すごく嬉しいです」(小原)
「スタートとゴールを担当して、真ん中はスポッターを担当していました。コーナーに行って。ペースの似たようなクルマを見つけて、そこのスリップストリームをもらうように、って指示を出していました。僕は参加できなかったんですが、事前にテストしていて、最高のパッケージはこれだ、っていうのをチームが見つけてくれて、そんなチームの努力のおかげだと思っています」(元嶋)
ヴィッツでは今井孝/橋本達宏組が初優勝。序盤から積極的に勝負を仕掛け、常にトップ争いを繰り広げていた。最初は6台での戦いで、そのしんがりにいたものの、ピットストップを繰り返すたびライバルが脱落していくのを尻目に、100周を超えたあたりからトップに立って、あとは徐々に引き離していくことに。一時は1分以上あったリードを、最後に北田和哉/松本英之/長谷川貴之組に30秒差にまで詰められるも、プレッシャーを感じることなくチェッカーを受けていた。
「きちんとした準備とメカニック、チームワークのおかげですね。自分としても、任せられた仕事をしっかりこなせたと思っています」(今井)
「今はホッとしております。今井さんが早めにペースを作ってくれたので、だいぶ楽できましたし、安心して走ることができました」(橋本)
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。