今年の速報、2発目です! さて気になる天気ですが、当初の予報では日曜日に雨予想がついていたんですが、当日は終日陽が差すことはなかったものの、ずっとドライコンディションがキープされました。しかし、先週もそうだったんですが、ちょっとブランクがあったせいか、ペース配分がどうもうまくいかず、ちょっとお疲れモードです。歳か!
昨年の最終戦ウィナーであり、チャンピオンカーを受け継いだ大島和也のタイムが、予選で思うように上がらない。直前のフリー走行でコース後半に激しくオイルが撒かれ、「そこだけ雨が降っているようだった」と皆一様に口にするほどだったが、たまらず残り6分間でピットに戻ると、左のタイヤが前後逆に装着されていた。即座に入れ替え、残り4分間にすべてを賭けるも、3番手留まり。チームOBの松本武士の的確なアドバイスを授かった、平田敦士が初めてのポールポジションを獲得。「完璧な走りではありませんでしたが、初めて一番前からスタートできるので、落ち着いて走りたいと思います」と平田。2番手は今回がデビューレースの菊池宥孝が獲得した。
決勝では大島が好スタートを切って、2コーナーまでにまずは菊池をかわす。勢いに乗る大島はWヘアピンの進入で平田のインを刺し、トップに立つとスタンド前にはコンマ8秒差で戻り、次の周には2秒5もの差を平田に対してつける。大島はラスト2周こそタイムを落としたものの、それまではファステストラップを連発。「スタートが決まって、すぐトップに立ててからは、ずっとファステストを更新し続けるつもりで走っていたんですが、後半少し伸びを欠いたのは今後の課題です。少なくてもシリーズは、全部勝ちます!」と大島。2位は平田が、そして3位は菊池が獲得。昨年の最終戦で2位だった村松日向子は練習中のクラッシュで、マシンを入れ替えた影響もあって、無念の5位に留まった。
岡山のポルシェといえば、ポルシェトロフィーがお馴染みだが、PCJトロフィーとはほぼ共通のレギュレーションで争われる4戦の転戦シリーズ。2番手の荻野哲生にコンマ5秒の差をつけ、ポールポジションを奪ったのはKBKW。決勝では荻野がスタートに遅れ、松島豊の先行を許すも、オープニングラップのリボルバーで再び前に。が、その間にKBKWは、すでに2秒先を行っていた。まったく危なげない走りを見せるKBKWに対し、後続には単独スピンが相次ぐ。ラスト2周、2番手をいく荻野もリボルバーで……。これでKBKWは大量のリードに守られたまま優勝を飾り、2位は松島が獲得。3位は予選のスピンで、7番手スタートだった鈴鹿スーパーFJにも出場する吉田雄作が、冷静に追い上げを果たすこととなった。「落ち着いて自分のレースができました。後半はタイヤが辛くなってきたので、後ろとの差もあったので押さえました。一回、スピンしそうにもなったし……」とKBKW。
今年は昨年より1戦増の全14戦+ファイナルで争われる、N-ONEオーナーズカップは初戦からエントリー30台の大盛況。ちなみにチャンピオンの坂井拓人は姿を見せていたものの、今年はシリーズを追いかけず、ごくレースを限っての参戦になるとか……。さて、岡山といえば、レイハート軍団が圧倒的な強さを示すことで知られるが、今回もその例外ではなし。予選でも3台連なって走行し、「最後の最後に前に出て、単独で出しました。セットは3台一緒、初ポールなんですが、今までは集中力が足りなかったでしょうね」と語る松本恭典が、楠井義則と小野貴史を従えて最前列からスタートを切ることとなった。決勝でも、その3人のポジションは維持され、さらに岩間浩一を加えて中盤までは激しいバトルを繰り広げる。しかし、終盤になると「僕の走りとタイヤの状況がマッチするようになって。なかなかタレないタイヤに助けられましたし、終盤の方がタイムはいいんですか? やるなぁ、俺(笑)」と語る松本が後続を引き離し、今季まず1勝目を挙げることとなった。2位は楠井で、3位は小野。
昨年のチャンピオン、杉原直弥が卒業を果たしたこともあり、ランキング2位の近藤善嗣がポールポジションを獲得。予定どおりかと思われたが、「とんでもないです。実は昨日の練習でトラブルが出て、それがどうなっているか分からないまま走っていたので、もうガチガチで」と近藤。2番手の清水康友との差はコンマ1秒にも満たなかったこともあり、決勝での激戦も予想された。実際、最初の2周こそ清水と吉田靖之の接近を許したものの、そのふたりがやり合う間に、近藤は一気にスパート。最後までアクセルを緩めることなく、予選を上回るファステストラップをも打ち立て、圧勝とした。「やっと硬さが抜けて、本来の走りができたというか……。予選のタイムには納得がいかなかったので、それだけはなんとかしようと。これからも常にあの人(杉原)が前にいること意識して、『俺がいないからや』って言わせないような走りを心がけたいと思います」と近藤。2位は清水で、3位は吉田、そして4位には最終ラップの逆転で、大山正芳がつけることとなった。
ディーラーチームからのエントリーが大半を占めるレースだけに、年度末のこの時期はN1、Nゼロともに3台ずつのエントリーに留まった。が、その中には思いがけぬ人物が。GT500チャンピオンの平川亮の妹である平川真子、さらに急きょピンチヒッターとして、片岡龍也が起用されることとなったのだ。予選で平川は2番手につけ、もちろん片岡がポールポジションで、実に2秒もの差をつける。となれば、決勝で大差をつけることは明らかだったが、あえてのパースダウンで片岡は、平川に奥義を伝授することも忘れなかった。「今季まず1勝目、しかも岡山で。GTの開幕戦に向けて、流れを作ることができました」と片岡はニンマリ。そして平川も「プロの後ろを走って、すごく勉強になりました。いろんな方に教えてもらって、走るたび自分が成長しているのを感じました」と語っていた。一方、Nゼロ-86では長谷川順一が一度もトップを譲らず圧勝。「予選に比べれば、ずいぶんセットがましになりましたが、それでもまだまだ……。とはいえ、勝てて良かったです」とレース後に語っていた。
昨年の最終戦を制している金森成泰が、引き続き好調ぶりを維持してポールポジションを獲得。「路面温度が低かったので、徐々に刻んでいった感じです。意外に上位の差がないんですが、このままの順位でフィニッシュできたらいいですね」と金森。2番手には山崎聡一がつける。決勝ではこのふたりの一騎討ちに。ただ、山崎をなかなか引き離せない金森ながら、その分ガードは鉄壁だった。「苦しいレースでした。何回か横に並ばれましたからね。最近どうも、こんな感じで、タテも伸びていないし……。でも、なんとか逃げ切れて良かったです」と金森。一方、あと一歩のところで逆転ならなかった山崎は、「やっぱり経験不足。何せ、今回が初の表彰台ですからね。これからです!」とリベンジを誓っていた。中盤まで下坂和也を従え、3番手を走行していた大井正伸は、エンジントラブルのためリタイア。8周目に下坂をかわした、平林浩一が3位でゴールしている。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。