朝まで降っていた雨は予選の途中でやんで、決勝も路面が濡れていたのは途中までで、スーパーFJなんかスリックタイヤが履けるまでの状況に変化していました。終わって、この速報書いている今、ついた人がいたら雨降ったなんて信じないだろうなぁ、って感じ。今日も1日頑張りました!
降るウェットの予選で信田和徳が、2番手の向山弘康に13秒もの差をつけ、ポールポジションを獲得。決勝でもぶっちぎりの展開が予想されたが、思わぬ落とし穴が。すでに雨もやんでいて路面も乾きつつあったため、ドライ用のタイヤに交換していた信田だったが、スタートに出遅れ、好スタートを切った予選3番手の永田徹にトップを明け渡したばかりか、2周目の1コーナーでスピンを喫してしまう。というのは再び雨が降り出したからだ。
いったんは4番手にまで後退した篠田だったが、タイヤに熱が入ると前を次々と抜いていき、5周目にはトップに返り咲く。ところが、そのまま逃げ切るまでには至らず、6周目には伊藤健に逆転されてしまう。だが、遅れることなく続いて9周目の5コーナーで再逆転に成功。逆に伊藤はビクトリーコーナーでスピンし、2番手は守ったものの、信田の逃げを許してしまう。「見せ場、作りましたよ!」と信田。
昨年からエキシジビョンや耐久レースが行われていたが、シリーズ化されたレジェンドカーレースの初戦がもてぎで行われた。決勝は5周の2ヒート制。予選ではレジェンドカーを日本に持ち込んだ、たしろじゅんがポールポジションを獲得。今井龍太を4秒近く引き離す。しかし、たしろは決勝第1ヒートのスタートで出遅れ、今井だけでなく予選3番手の山本謙悟にも先行を許す。オープニングラップの2コーナーで山本が前に出るも、今井は5コーナーで抜き返すのを、明らかにたしろは静観の様子。最終ラップの5コーナーで今井は飛び出すも、なんとかトップは守って第1ヒートを終える。
3時間後に行われた第2ヒートは、すっかり路面も乾いて、一部に濡れた場所を残すのみに。好スタートを決めた今井ながら、1コーナーでスピンを喫して復帰ならず。これでたしろがトップに立つも、ヘアピン立ち上がりで山本の先行を許す。しかし、2周目の1コーナーでは再びたしろがトップに立つが、山本もしっかり食らいついて離れない。最終ラップのダウンヒルストレートで逆転し、そのまま逃げ切りに成功。「遊んでもらいました(笑)」と語る山本に対して、たしろは「全力です(笑)」と。何か忖度があったような気がしたのは、筆者だけ?
「今年はもてぎでも関東シリーズが行われるので、しかも6月なので雨の可能性が高いので、今回、雨だったのはラッキー。今の予選で試したことがどんぴしゃりでした」と語るのは、ポールポジションを奪った北田和哉。2番手には東北シリーズ3連覇を狙う渡辺圭介がつけていた。決勝は途中で雨はやんだが、終始ウェットコンディションのまま。スタートで前に出た北田は、なんとオープニングラップだけで4秒も渡辺を引き離す。北田の勢いは止まらない。その後も1周ごと秒単位の差をつけ、終わってみれば8周のレースで32秒差の大独走に!
「練習中のドライには自信がありましたが、ウェットなんかいつ以来ってぐらい久々でしたから、ちょっと不安はありましたが、終わってみれば! 特別、雨用のセットとかしていないんですけど、たぶん走っているラインが他の人とは違っていたんだと思います」と北田。一方、序盤は渡辺も単独走行ながら、徐々に近づいてきたのが小森康廣だった。予選8番手からスタートを決めて一気に4番手にまで浮上、5周目にイシカワヨシオをかわした勢いで、次の周には渡辺のすぐ後ろまで。しかし、渡辺はしっかりガードを固めて逆転を許さず、なんとか2位でのゴールには成功した。
今回はシビックとVITAの混走となった、もてぎスポーツ。今回は雨の予選だったこともあり、シビック勢が上位に並んでいたものの、以前の混在したグリッドではスタート直後や速さの質の違いからアクシデントも発生していたことから、14グリッド開けてVITA勢を並べることに。これが奏功して、今回は何も起こらなかったのは何よりだ。
シビックでポールポジションを奪ったのは今回が初めての辰巳浩一だったが、なんと2周目の5コーナーでスピンしてトップから落ちたばかりか、次の周にも同じ場所でスピンを喫して、勝負権を失ってしまう。変わってトップに立ったのは安斎景介ながら、真後ろには絶えず藤原大暉がつけて気の抜けない状態に。それでもしっかりガードを固め続けていた安斎ながら、思わぬ存在がやがて近づいてくる。それが前回のウィナーでありながら、予選11番手に甘んじていた関直之だ。1周目のうちに6番手まで上がっていた関は、2周目に5番手に浮上。しばらくは様子を見ていたが、時は訪れたと確信したのだろう、7周目にはあれよあれよという間に順位を上げて、V字コーナーで安斎さえも抜いてトップに浮上する!
「予選はタイヤ失敗したんですよ、全然発熱しなくて。決勝では替えました、チームメイトに借りて。鬱憤晴らせてスッキリしました」と関。安斎は8周目に藤原に抜かれ、悔しい3位に留まった。ちなみに関にタイヤを貸したのは、その安斎だった!「貸すんじゃなかった」と言ったとか言わなかったとか……。
VITAは茂木祐一と相馬充寿が、チームメイト同士で最前列を独占。「雨は苦手」と語りながらも、「雨は得意」という相馬を従えていた茂木。だが、スタートで前に出たのは相馬で、最後まで茂木の逆転を許さず。「2014年から始めて、ようやく勝てました。スタートが決まって、作戦どおりの展開に。腐らず、ずっとやってきた甲斐がありました。後ろに茂木さんがずっといたので、最後まで気を抜かずに走っていました」と相馬。
もてぎシビック
もてぎVITA
佐藤考洋がポールポジションを獲得、荒田良浩を僅差で従える。「緊張しちゃうとミスしやすいので、落ち着いて走るつもりです」と佐藤。決勝では予選3番手から飯田敏雄が絶妙のダッシュでトップに浮上するも、佐藤は食らいついて離れず、最初の2周は何度もトップを入れ替え合う。中盤には1秒の差をつけた佐藤ながら、その後はまた飯田が離れない。コンマ8秒差ながら逃げ切った佐藤は賞典外での参加。そのため、飯田が表彰台の頂点に立つこととなった。
「バトルを楽しめました。できれば、トップでチェッカーを受けたかったですが、ファステストラップが出ていました? あ、気づきませんでした。でも、それでスッキリしましたね」と飯田。2位は荒田が獲得した。
2戦連続でのポールポジションを神晴也が獲得するも、前回のような大差ではなく石崎竜一郎と、わずかコンマ1秒差。「最後にピークを合わせられたのは良かったんですけど、もう少し前半で我慢すれば良かったですね」と悔しそうに語る。一方、石崎は「最終ラップのビクトリーコーナーで失敗しているんですよ、その分だけの差なので」と決勝での逆襲を誓っていたのだが……。
その決勝は全車がドライタイヤを履くまでに路面状態は回復していたが、グリッド上での乾き具合は奇数列と偶数列では明らかに違っていた。神が無難なスタートを切ったのに対し、石崎は完全に出遅れ、チームメイトの岩澤優吾にも抜かれてしまう。もてぎでの初レースとなる16歳の岩澤ながら、ブロックが巧み。石崎は4周目まで封じ込められていた。ようやく前に出た時には、もう神は7秒以上も先に……。その後も神はプッシュし続け、「最終ラップにファステストを出すつもりが、失敗しちゃったのだけが反省点です」と、それでもほぼ10秒の差をつけて2連勝。2位は石崎で、3位は最後まで上田裕也を封じ込んだ岩澤が獲得。
開幕2連勝を狙う塩谷烈州が、またしてもポールポジションを獲得。一方、宿敵・海老澤紳一は5番手に甘んじていた。「タイヤはBS。このコンディションにはすごく合っていて。ドライになったら使いません! 今年はその時どきで、一番いいものをチョイスして。買っているんで。ちょっとずるいけどね!」と塩谷。案の定、決勝はドライに転じ、前回同様ダンロップのタイヤを選んでグリッドに塩谷は並ぶ。
決勝ではオープニングラップのうちに寺岡をコンマ8秒引き離し、そのまま逃げるかと思われた塩谷ながら、たった3周で2番手に浮上していたのが海老澤! スタートで1台を抜き、2周目のヘアピンでもう1台を、次の周の同じ場所でさらに1台を抜いていたのである。しかも、その段階で1秒7ほどあった塩谷との差を、4周目だけでコンマ6秒としてきたのは、同じタイヤを、しかも長く使っていた経験の差か……。6周目にはさらに詰め、逆転は時間の問題かと思われたものの、なんと90度コーナーでオーバーランしているではないか。「5コーナーでなんか踏んじゃって、その影響がちょうど90度コーナーで出ちゃって、止まりきれなかった。あれさえなかったらね!」と悔しがる海老澤。
なんとか逃げ切った塩谷ながら「まさかエビちゃんが後ろにいるとは! びっくりした。エビちゃんに予選いらないね。序盤のうちに離せたから、最後楽になるかと思ったけど、とんでもなかった。ダンパー換えたのが、ちょっと裏目に出たかな」と語るも、2連勝を達成。3位の寺岡は「FIT3では初めて」の表彰台に立つこととなった。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。