今年初めて飛行機に乗って(笑)、オートポリスにはスーパーフォーミュラではなく、ゴールドカップで行ってまいりました。いや〜、土曜日の午前中にはミルクロードが渋滞、雨&霧で、しかも極めて寒いとあって、サーキットに着いた時はどうなることかと思いましたが、やがて雨はやんで、次第に天気は回復。日曜日は完全なドライコンディションとなって、『どうだ、まいったか!』って感じでした。やっぱり基本「晴れ男」なんですよね〜。え、全国的に晴れ?
ヴィッツレースは3戦目の原俊平が、ディフェンディングチャンピオン三浦康司を僅差で抑えてポールポジションを獲得。「途中の赤旗でラッキーな部分はありましたが、一番で良かったです」と原。決勝でも原は好スタートを切るも、三浦はピタリとついて離れず。その後も激しいバトルが続くものと思われたが、オープニングラップの第1ヘアピンで原と三浦は接触。これで三浦がトップに立った一方で、原は3番手スタートだった羽田隆一郎にもかわされてしまう。原は4周目の3コーナーで羽田を抜き返すが、その時もう三浦は5秒先に。
難なく逃げ切ったかのように見えた三浦ながら、接触が危険行為との判定で30秒の加算で8位に降格。繰り上がって原がヴィッツレースで初優勝。「やっぱり一番は嬉しいですね。できれば三浦さんとずっとバトルをしたかったんですが……」とは、きっと本音のはず。2位は羽田が、そして3位は井上功が獲得した。
「昨日まで行き過ぎていたので、今日は抑え過ぎてしまい、タイヤのいいところを出し切れませんでした」と語るも、岩本佳之、水谷大介、水野大を従え、ポールポジションを獲得したのは庄司雄磨。決勝では岩本のダッシュが鈍ったこともあり、水谷が庄司に続く2番手に踊り出る。そして3番手に浮上したのは、予選中のハーフスピンで6番手に甘んじていた神谷裕幸だ。
庄司と水谷の一騎討ちは終盤まで続いたものの、そこに現れたバックマーカーがレースの流れを大きく変えた。行く手を阻まれた庄司は、ホームストレートで水谷にスリップストリームを使われ、逆転を覚悟したものの……。1コーナーのアウトから抜きに出た水谷だったが、その直後に痛恨のオーバーラン! これで逃げ切った庄司が、久々の優勝を飾り、「ずっと苦しいレースでした。タイヤはずっとアンダーでしたから」とレース後には安堵の表情を見せていた。2位は神谷で、3位は岩本が獲得した。
予選でラスト5分までトップに立っていたのは菅波冬悟だったが、最後のワンアタックを決めてポールポジションを奪ったのは谷口信輝だった。「パズルのピールが昨日までうまくはまっていなかったけど、この予選に向けてはうまく取り繕えたね!」と、してやったりの表情が。3番手には青木孝行がつけて、4番手は織戸学が獲得。
決勝では谷口が絶妙のスタートを切るも、続く菅波と青木も負けず劣らず。3台でいきなり激しいトップ争いを繰り広げるも、菅波を振り切れないと判断した谷口は、まるで先週のスーパーGTを彷彿させる、封じ込み作戦に討って出る。そのため、後続が1台、また1台と連なるように。これに堪え切れなかったのは、菅波以上に青木だった。4周目の1コーナーで仕掛けるも接触し、菅波は大きく順位を落としてしまう。青木はなんとか踏み留まったものの、7周目の第1ヘアピンで織戸と接触。青木はリタイアを喫してしまう。
後続のアクシデントを尻目に、谷口は難なく逃げ切りを果たして、久々の優勝を飾ることに。「先週から抑えるのが、すごく得意になっていたんだけど(笑)。菅波が速かったから、とにかく抑えることに専念しようと思っていたら、後ろがやり合ってくれたので、途中から楽になりました」と谷口。2位は織戸が、3位は佐々木雅弘が、そして4位は予選9番手だった井口卓人が獲得。5位の平木湧也は86/BRZレース初入賞となった。
Z33を駆る楊昌樹が、クラス違いとはいえ2番手でAE111を駆る阿部貴一を5秒近く離してポールポジションを獲得。ところが、スタートでは「ギヤが入らなかった」と楊は出遅れてしまう。これで阿部がトップに立つも、3周目のストレートで楊の逆転を許す。一時は13秒もの差をつけた楊だったが、後半のペースが大きく落ちる。大事をとって抑えたのかと思いきや、「左リヤのナットが緩んだのか、ガタガタ言ってストレートさえまっすぐ走らなくなっていて。いつ脱輪するかと気が気じゃなかったんです」と楊。それでもなんとか逃げ切りを果たす。
一方、その後方ではSS2クラス同士の激しいバトルが繰り広げられ、阿部をEK9のテツ清水が追いかけたが、最後まで逆転は許されなかった。「後ろから師匠が鬼の形相で迫ってくるので、必死になって逃げました。早く終われ、ってそればっかり考えていました」と阿部。一方、清水は「最終コーナーが遅くて、EK9のいいところを活かせなかったんで、しょうがない」とは言いつつも、バトルを楽しんでいた様子は明らかだった。
今年は全国のシリーズに積極的に遠征し、オートポリスでも開幕戦を制して荒川麟ながら、今回は元嶋成弥にコンマ2秒差での2番手に甘んじてしまう。2歳上のGTドライバーを兄に持つ元嶋は「今回は納得の走りができました。ポールは初めてじゃなくて、去年1回獲っているんですが、不運な展開続きで結果が残せていないんです。でも、そろそろ残さないと」と語る。決勝では元嶋、荒川ともに好スタートを切り、オープニングラップのうちに後続を引き離す。激しいトップ争いが、見る者すべてを魅了することに……。
荒川が何度も牽制をかけるも、そのつど元嶋はガードを固めて逆転を許さず。そして、振り切ることができなかったのではなく、荒川にペースを合わせていたことも明らかに。9周目にファステストラップを記録して、一気に差をつけたからだ。その様子はまるで常勝ドライバーのようでもあったものの、これが実は初優勝。
「子供みたいに、クルマの中で泣いちゃいました(笑)。いろんなクルマが走って路面がかなり汚れていたので、いい場所を探りながら走って、最後だけタイヤを使い切ろうとプッシュしました」と元嶋。「今回はずっとセッティングが合わない感じでした」と語る荒川に続いてゴールしたのは、川地欣也だった。
GTドライバーの元嶋佑弥(左)と、
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。