またしても岡山のビッグレースは、雨に見舞われてしまいました。岡チャレは比較的、天気に恵まれているんですけどね。だから、私のせいではなく(笑)。金曜日までずっとドライだったのに、土曜日から路面が乾くことは一度もありませんでした。スーパーフォーミュラはなんとか行われましたが、F3の第9戦代替レースは、またも中止になってしまったのが残念です。
5人が同点でトップという、極めて稀有な状態だったパーティレースIIIの西日本シリーズ。雨に見舞われた予選では、第2戦のウィナーである本多永一が最後の最後にトップタイムをマークし、2番手につけた八田新一に1秒の差をつけた。3番手は杉野治彦で、4番手は樋口紀行、5番手は猪爪杏奈と、トップの5人がしっかり上位に並んでいた。
いったんはやみかけた雨だったが、決勝レース直前に再び強く降るようになって、スタート直後の混乱が心配された。1コーナーこそ全車クリアに通過したものの、2コーナーで杉野がスピンを喫し、無念のリタイアを喫してしまう。そして、トップに躍り出ていたのは八田。絶妙のダッシュで、2コーナーまでに本多の前に出ていたのだ。1周を終えると、八田と本多は早くも後続を引き離して一騎討ちの様相に。その後方では樋口と猪爪、兼原洋治による3番手争いも激しく繰り広げられる。
ペースでは優った本多ながら、八田の跳ね上げる水しぶきで視界を奪われ、何度も横には並ぶも、完全に抜き切るまでには至らず。コンマ4秒差で逃げ切った八田は「スタートが決まったのがすべてだね。岡山では初優勝!」とニッコリ。もちろん、ランキングでも単独のトップに。3番手は最後まで樋口が守り抜いたが、4周目に猪爪をかわした兼原が4位を得ていた。
降りしきる雨の中、行われた予選で最後の最後にベストタイムを出して、小野貴史がポールポジションを獲得。石坂瑞基が2番手で、土壇場までトップだった永田郷が3番手となった。決勝レースが近づくにつれ、雨脚は弱まるどころか、かえって強くなってセーフティカースタートからの始まりに。結論から言えば、SCランは最後まで続き、誰にもバトルを許さずにチェッカーが振られることとなった。
「個人的にはとても楽に勝たせてもらって、申し訳ないぐらいなんですが、入門者を広く受け入れているレースなので、何かあったら……と思うと仕方ないですね。今回は予選がすべてで、最後に(ベストタイムを)出せて良かった」と語る小野は今季3勝目をマークして、初めての有効ポイントフルマークに成功した。3位の永田は、これが初めての表彰台に。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。