世間ではJAFグランプリでしたが、私は筑波におりました。土曜日はスーパーカートのためだけにいる!という贅沢さ。お昼過ぎには基本、仕事終わって路頭に迷っておりました(笑)。が、日曜日は9レース。1日で9レースはさすがにしんどい……。慣れたもんですよ、と言えるほど、もう若くないもんですから(悲)。
初めてのポールポジションを獲得したのは、N-ONEオーナーズカップ史上最強の呼び声も高かった、吉田綜一郎の4歳下の弟、吉田龍ノ介だった。決勝でも吉田はスタートを決めてトップに浮上し、後続の争いがいきなり激化したのを尻目に、1周目だけで3秒の差をつけることとなった。その後も後続をまったく寄せつけず、ひとり快適なクルージングを楽しんで、デビュー5戦目の初優勝を飾ることとなった。「後ろでやりあっているうちにプッシュして、逃げることができました」と吉田。2番手争いは阿久津敏寿、塚原和臣、西郷倫規の間で繰り広げられたが、1周目のうちにその順番となってからは、最後まで変動はなかった。
また、今回初めて予選下位のドライバーを対象とした、「フューチャーズ」は北嶋優一が優勝。
チャンピオンに王手をかけた八代勝也がポールポジションを獲得し、逆転の可能性を残す荒川智弘が2番手につけて、まさに一騎討ちの様相に。せめて勝って終えたい荒川だったが、決勝のスタートで八代は鋭いダッシュで逆転を許さず。その後も八代は荒川どころか、会沢主税と貴島康博も真後ろに置く厳しい戦いを強いられるも、ミスなく最後まで走りきって4勝目をマーク。そして悲願のチャンピオンを獲得する。「とにかくつまらないミスだけはしないようにと思っていて、うまくいったレースでした」と八代。2位は荒川が、そしてラスト2周の逆転で3位は貴島が獲得した。
JAF-F4の今季最終大会は、Wヘッダー開催。第1レースは予選結果で、第2レースは第1レースのベストタイム順にグリッドが決められる。その予選ではスポット参戦の金澤力也が長らくトップにつけていたが、最終ラップにポイントリーダーの徳升広平が逆転。「最後に出るんですね、自分でもびっくりしています。ずっと4番手ぐらいで、タイムも同じぐらいだったので、これは自分だな……と思って走り方も変えて、少し抑えて立ち上がり重視にしたら、それがうまくいきました」と徳升。
しかし、その徳升が「クラッチを離したと思ったんですが、離れきれていなくて」と、スタートに出遅れ、金澤の先行を許してしまう。その直後にダンロップコーナーでクラッシュがあり、セーフティカーが5周目まで出てしまう。リスタートのタイミングは金澤も徳升もほぼ同時。だが、じわりじわりと金澤は徳升を引き離していき、初参戦初優勝を飾ることとなった。「スタートが決まって、前に出られたのが大きいですね。でも、次も同じタイヤ使わなきゃいけないんですよ。急な参戦なんで準備が間に合わなくて。厳しいかもしれませんね」と金澤。3位は金井亮忠が獲得した。
スーパーカート界の大ベテラン、YUUKAが保立翔に100分の7秒差でポールポジションを獲得。決勝は接戦になるかと思われたものの、スタートをYUUKAが決めたことで保立を少しも寄せつけず。「今日も楽しく走れました」と、今シーズン3勝目をマークした。混走のSK2クラスは3台での激しいバトルが繰り広げられ、4周目からトップに立った岩崎浩二が、藤木章二と川島浩を振り切るまでには至らなかったものの、逃げ切って富士以来の勝利を挙げた。
すでにチャンピオンを決めているKAMIKAZEは、F4に移行したため欠場。そんな王者不在の一戦で初参戦ながらポールポジションを獲得したのは、伊藤駿だった。「今まで軽耐久には出たことがあるますが、公式レースは今回が初めて」というから驚き。ランキング2位の秋山健也にもコンマ7秒の差をつけた。
決勝では、伊藤にとってもちろん初めてのスタートだったものの、そつなくこなしてトップを譲らず。その後も後続をじわりじわりと引き離して、デビューウィンを達成した。「途中、シフトミスとかありましたが、最後までプッシュすることを心がけました」と伊藤。2位は秋山が、そして3位は初の表彰台獲得となった上吹越哲也が獲得した。
ポールポジションを獲得した河村恭平が決勝で長らくトップを快走したものの、ラスト2周のシフトミスで涙を飲んだ。逆転を果たしたのは、「シートが壊れて、しっかり走れなかった」と語る梅田剛。予選5番手からじわりじわり順位を上げて、8周目には2番手に浮上。かけ続けたプレッシャーが効いた格好で、「さすがに厳しかったです、でも、良かった」と梅田。なお、チャンピオンは予選9番手から4位にまで追い上げた、富林勇佑が獲得した。
またクラブマンクラスでは、泉多美宏がポール・トゥ・ウィンを飾っている。
ここまで3戦3勝の井尻薫が、佐久間行雄にコンマ4秒の差をつけてポールポジションを獲得。決勝でもスタートを決めて、オープニングの1周だけで1秒2の差をつける。容赦のない井尻は、その後もアクセルを少しも緩めることなく、最後は7秒差の圧勝に。「めっちゃ真剣に走りました」と井尻。限界はここまで突き詰められると、まるでアピールしているかのようであった。2位は佐久間が、そして橋本悠亮が獲得。もちろんチャンピオンは井尻のものとなった。
ポールポジションは徳升広平で、2番手は金澤力也と、第1レースと同じ並びとなったフロントロー。今後は徳升がリベンジを果たし、スタートを決めると金澤の接近を許したのは序盤のみ。交換を許されたニュータイヤに熱が入ると、金澤を引き離していった。これで今季2勝目をマークした徳升がチャンピオンを獲得。「最後に勝ててチャンピオンというのは、すごく嬉しいです。来年は連覇を狙います。もっと強くなって戻ってきます」と徳升。3位は金井亮忠が獲得した。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。