GTとDTMの交流戦も、GT300のスプリントカップも面白かったけど、その雑感はコラムに回すとして……。今回はヴィッツレースのグランドファイナルのレポートだけをお届けします。まぁ、私に期待しているのは、そういうレースでしょうから(笑)。
これまでTGRFに併せて行われることが多かった、ヴィッツレースのグランドファイナル、すなわち日本一決定戦は今年、GTとDTMの交流戦のサポートレースとして開催されることに。予選落ちはないものの、その代わりに予備予選が行われ、下位21台はコンソレーションが設けられていないので「さようなら」という非情、いや無情? これも勝負の世界ならでは。
ようやく各シリーズの上位陣ことシードドライバーたちが加わり、削ぎ落とされたとはいえ54台が一斉に15分間で競う予選で、ポールポジションを獲得したのは関西シリーズのチャンピオン、峯幸弘だった。予備予選を走らなかったことで、ちょい濡れの微妙な路面状態に序盤は苦しんでいたが、終盤にポンとタイムアップを果たしていた。「金曜の練習走行がヘビーレインだったので、そのイメージが最初のうちは残っていて全然ダメで。タイムもどんどん開いていくし、すごく頭使いましたわ。からだより頭の方が疲れたという感じで……。よく自分でも、短い時間で合わせ込めたと思います」と峯。
2番手は北海道チャンピオンの赤堀康裕が獲得し、3番手はデパマン石渡。4番手には86/BRZレースのプロフェッショナルシリーズに移行したはずの水谷大介が。「古巣のヴィッツレーサーが戻ってきて、層が厚くなった方が面白いので、明日は楽しみです。なんとか生き残りつつ、最後はトップでゴールできたらいいですね」と、峯はつけ加えた。
日曜日の早朝に行われた決勝レースは、雨はやんで水たまりはできていなかったものの、その代わり名物(!)の霧に見舞われることに。直前までレース開始も危ぶまれたが、ギリギリ視界が確保される状態にまで回復。好スタートを切ったのは峯だった。後続が激しくバトルを繰り広げたことで、セクター1だけで1秒のリードを早々と築き、オープニングラップを終えた段階で早くも3秒にも。これで勝負は決したも同然だった。
2周目には水谷が2番手に浮上し、やはり単独走行に持ち込んでいく。一方、3番手争いの先頭に立ったのは黒田保男で、それが5周目のこと。予選10番手から、さすがの勝負強さを見せたが、もはや時すでに遅しといった感が……。
その後のトップ3は単独走行ながら、心理戦の様相も呈していたと峯。「オープニングラップの展開が良くて、いきなりスリップストリーム圏外に離れられたので。ただ、その後は路面が非常に滑りやすかったので、ちょっと安パイで行くと水谷選手が近づいてくるんですよ。距離はありましたけど、せめぎ合いですよね。向こうが近づいてくると、僕が頑張って離して。見た目に分からない、距離はあるけどドライバー同士、意地の張り合いという感じでした」と。一方の水谷も「僕がフロントローにいれば、峯さんといい勝負ができたと思いますが、4番手だったから、そもそも抜くのに時間がかかって。でも、ファステストラップは獲れたので、まぁ良かったです」と語っていた。
6台で最後まで競われた4位争いは小野田貴俊が制したものの、ペナルティによる30秒加算で順位を落とし、繰り上がっていたのは東北チャンピオンのCANDY竹川。そして、CVTクラスでは神谷裕幸が圧勝。明らかに戦闘力の差のあるMT車両を相手に、総合でも28位という結果を残していた。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。