え〜、待ちに待ったスーパーFJ&F4日本一決定戦と、鈴鹿クラブマンの最終戦です。張り切って金曜日から入って、スーパーFJの練習走行をコーナーで見ていたんですが、寒いのなんのって。それなりに防寒対策はしてきたつもりでしたが、ちょっと足りませんでした。しかし、熱い私はなんとか乗り切って風邪などひいてません。週明けが心配ですが(笑)。んで、レース多かったので、前編と後編に分けま〜す。
スーパーFJだけで争われるようになって、史上最多となる47台ものエントリーを集めた日本一決定戦。予選と第1レグは例年どおり2グループに分けられ、Aグループのトップは予選でも最速タイムを記していた伊東黎明が、序盤のうちに後続を引き離し、終盤は帰り新参の岡本大地の猛追を受けるも、しっかりと退けていた。その一方で、鈴鹿チャンピオンで本命と目されていた、澤龍之介は中村賢明に抜かれて4位でのゴールとなった。Bグループでは、SRS-Formulaのスカラシップを獲得したばかりの岩佐歩夢がポールを奪うが、オープニングラップの130Rで元嶋成弥の逆転を許す。しかし、少しも離れず続いていた岩佐は、元嶋のシフトミスに乗じて再逆転に成功。3位には岡山チャンピオンの入山翔がつけていた。
決勝タイムの早い方がファイナルのポールということで、最前列に並んだのは伊東で、その脇には岩佐が。奇しくももてぎ、鈴鹿のランキング2位のドライバーだ。スタートで伊藤は出遅れ、代わってトップに躍り出たのは2列目にいた岡本。これに岩佐、元嶋、伊東の順で続いていくが、バックストレートで3台が絡むアクシデントが発生。SCが入って、その後に赤旗が出されてしまう。各車グリッドに戻ってくるが、その中にトップの岡本の姿がない。スロー走行を強いられる中、エンジンが止まってしまったのが原因だ。またしても岡本は涙を飲む。
レースはSCスタートで再開され、1コーナーで伊東が元嶋を捕らえ、2番手に上がったのも束の間、伊東は2コーナーでスピンを喫し、順位を落とす。この間に2番手に浮上したのが澤。トップの岩佐を1秒差で追いかける。しばらくはなかなか間隔を詰めることが許されなかった澤ながら、最終ラップになって岩佐に急接近。スプーンでトップに立つも、岩佐はシケインで再逆転! 著しい成長ぶりを示していた岩佐が、2019年のスーパーFJ日本一に輝くこととなった。2位の澤は溢れる感情を抑えきれず涙し、3位は元嶋、中村賢明を最後まで抑え抜いた入山翔が獲得した。
「この1年間、皆さんのおかげですごく成長することができて、いったんはトップを奪われましたが、最後まで諦めずに走ったのが良かったです」と岩佐。
N-ONE使いのナンバー1を決める一戦、ファイナルが今年は鈴鹿での開催に。ポールポジションを獲得したのは西郷倫規で、2番手は阿久津敏寿。トップから7台が1秒の間に並んでいた。決勝では、予選3番手の岩間浩一が好スタートを切って阿久津に食らいついて離れず。S字で早々と逆転を果たす。そのままトップの西郷に続いて、阿久津以下を引き離していった。ところが、2周目のスプーンで接触、転倒があり、SCが導入されることに。4周目からのリスタート後も、何事もなかったかのように西郷と岩間によるトップ争いが激しく繰り広げられたが、辛くも西郷が逃げ切りを果たすことに。そして、チャンピオンは西郷が獲得した。「念願のチャンピオンが獲れました。すべて予選ありきでしたね。SCが入った時は、このまま終わらないかなと(笑)。始めた頃は、まさかチャンピオンになれるなんて、思ってもいませんでした」と西郷。
だが、レース後の正式結果には2位に岩間の名はなく……。車両規定違反により、失格となってしまったのだ。これで阿久津が繰り上がって2位となり、3位は楠井義則が獲得した。
RSは阿部博行のひとり舞台。オープニングの1周だけで後続を3秒も引き離し、混走のCS2にアクシデントがあり、せっかくのリードをふいにするも、再開後はそれより控えめながらも、じわりじわりと逃げていく。最終ラップにペースが鈍るも、「チームメイトと並んで、ゴールしたかった」からと。その思いは届かなかったものの、難なく逃げ切りを果たして王座を獲得。2位は板津一平だった。
CS2はチャンピオンに王手をかけた大文字賢浩が、予選3番手からスタートを決めてトップに立つも、2周目に差し掛かったばかりのストレートで追突され、3台がリタイアするアクシデントで赤旗が出されてしまう。再開後は「何か起こりそうだったので、僕はあえて引いていた」と生き残った金久憲司の独壇場に。F4を戦っていた2001年以来の優勝を飾った。2位はベンソン・リンが獲得した。
VITAによって争われるクラブマンスポーツは、伊藤直登が初のポールを獲得。決勝でも好発進を決め、トップからレースを開始する。逆に予選2番手の眞田拓海はスタートで順位を落とすが、2周目には2番手にカムバック。その勢いで伊藤に襲いかかり、3周目のスプーン侵入でトップに躍り出ると、徐々に後続との差を広げることに。逆に伊藤は4周目に山谷直樹にかわされた後、最終ラップには中里紀夫にも抜かれてしまう。
その中里、予選は10番手。絶不調を訴えていたが、決勝を前に施したセッティング変更が大成功、徐々に順位を上げて表彰台にも上がって3連覇を達成する。「チャンピオンだけは逃したくないと思っていたけど、表彰台にまで立てて面目は保てた」と中里。一方、難なく逃げ切った眞田は、「スタートが酷すぎましたが、なんとか挽回できて良かったです」と3勝目に満足そうな表情を見せていた。
ここまで3勝を挙げ、すでにチャンピオンを決めている武田泰一ながら、予選でいきなりエンジントラブルに見舞われ、最後尾スタートを強いられることに。絶対王者のアクシデントの間に「台数が多かったのに、しっかりクリアラップが取れました」とポールポジションを奪ったのは林陽介。今季初優勝の期待もかかった。
決勝では林陽介が好スタートを切り、これにチームメイトの鶴口裕太が続いたが、なんとシケインで2台は接触! これでトップに浮上したのは林大輔。陽介の兄だ。その後も危なげなくトップを走りきって初優勝を飾り、「今年は初づくしのシーズンなんです」と語る一方で、1周目に順位を落としたふたりともチームメイト。「冷静に走ってくれれば、みんなで表彰台を独占できたのに」と、その点では悔しがっていた。
一方、最後尾スタートの武田は、あれよあれよと順位を上げて、6周目にはなんと2番手に。林大輔にこそ迫れなかったものの、貫禄を大いに示すこととなった。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。