スーパー耐久の開幕戦が延期になったこともあり、本来なら今年はいけないはずだった筑波に来られたのは、まぁ良いことだと思っています。それにしても世界的にレースが延期になったり、中止になったりで先行き不安です。延期になった分のレースで、後半戦もドタバタしそうだし……。まぁ、難しいこと考えず、やれることをやっていくのみです。
今年は1戦しか行われない、富士でのスーパーFJと筑波シリーズが併せて行われることとなり、筑波・富士シリーズとして全7戦で競われることが決定。その初戦は昨年の最終戦でデビューウィンを飾った伊藤駿がポールポジションを獲得、ひとり59秒台を切ることに成功する。「嬉しいです。でも、タイムより結果狙い。勝ちに行きたいですね」と伊藤。2番手には、昨年KAMIKAZEがドライブしたチャンピオンカーを受け継いだ草野裕也がつけた。
決勝でも伊藤は好スタートを切り、そのまま逃げていくかと思われたものの、5周目からは2番手の草野の方がタイムで勝るようになり、折り返しの頃にはテール・トゥ・ノーズでの戦いに転じていく。ワンチャンスあれば……という状況だったものの、その最中に草野のミッションが音を上げ、無念のリタイアを喫することに。これで難なく逃げ切った伊藤だったが、「なんか不戦勝みたいな感じでしたね。でも第1戦を勝ったからには、全部勝つぐらいの心構えで行きます」と語っていた。2位はデビュー2戦目の松澤亮佑が、そして3位は本田千啓が激しいバトルの末に獲得。
「JOY耐には毎年出ていますけど、スプリントはスポットでボチボチ」と語る室岡嘉浩がポールポジションを獲得。決勝でも好スタートを切ったのに対し、予選2番手の堀雅清は1周目のペースが上がらず、5番手にまで順位を落としてしまう。
折り返しまでは逃げ続けた室岡だったものの、後半のペースが思うように上がらなくなって、田中千夏と八代勝也の接近を許してしまう。それでも要所をしっかり押さえた室岡が、辛くも逃げ切りを果たし、「99年の鈴鹿クラブマン最終戦以来、20年ぶりのスプリントでの優勝です」と語っていた。
今まで富士チャンピオンレースで開催されていたAudi A1 Fun Cupながら、2戦しか開催できないということで、筑波にも2戦舞台を移すことに。初めての戦いにおいて、予選でトップタイムをマークしたのは藤井優紀だったものの、複数回の四輪脱輪のペナルティで当該タイムが抹消となったばかりか、4グリッド降格のペナルティを受けてしまう。繰り上がってポールポジションを獲得したのは、「筑波のレースは初めてで、5年ぐらい前の走行会での走りを思い出しながら」と語る橋本泰一だった。
8周目まではトップを走り続けた橋本ながら、徐々に追いついてきた藤井に逆転を許してしまう。「速過ぎましたね」と橋本。いったんトップに立ってからの藤井は逃げ足の速さも見せ多はずが、追い上げの最中の接触に対し、30秒加算のペナルティがまたも課せられて順位を落とす。そして再び橋本が順位を上げて優勝を飾った。
5クラス29台が一斉に走ることとなったサーキットトライアルだけに、コース上のあちこちが大渋滞。なかなかクリアラップが取れない状況の中、第1ヒートの計測1周目でベストタイムを、しかもコースレコードでマークしたのはB6クラスの澁澤栄一だった。「筑波のレースは長いんですが、CTは初めて。いきなり前が詰まっちゃったんですが、みんなマナーが良くて何とか1周だけまとめられました」とデビューウィンを大いに喜んでいた。
B4クラスでは、これまたレコードタイム更新の市川忠康が第1ヒート最初の計測周で逃げ切り成功。連覇に向けて好スタートを切った。B5クラスは森田正穂が、そしてB1クラスは柴田尚がやはり第1ヒートのタイムで逃げ切ったのに対し、B2クラスは第1ヒートで5番手だったヤスモトユウトが逆転優勝。「今までマツダのCTに出ていたのですが、地方選手権は初めて。幸先の良いスタートが切れました」と語っていた。
モータースポーツジャーナリスト。大学在籍時からモータースポーツ雑誌編集部に加わり、90年からフリーランスに転身。以来、国内レースを精力的に取材。本当に力を入れたいのは、非メジャー系レース。特にエントリーフォーミュラのスーパーFJに関しては右に出る者はいないが、並ぼうとする者もいないのが悩みの種?スーパーGT(主にGT300)とスーパー耐久は全戦取材を予定。6月14日生まれ、東京都出身。